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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

「騎士団長殺し」とは絵画のようです

早くも3刷りが決まりました。

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騎士団長殺し村上春樹 著(新潮社)

肖像画を得意とする画家の「私」は妻に離婚を切り出され、雨田具彦(あまだともひこ)という画家の旧宅で暮らし始める。屋根裏から見つかった謎の絵の意味は。破格の額で肖像画を依頼してきた免色(めんしき)という男の意図は――。様々な謎をはらみながら、計約1千ページの物語は進む。

予約注文分を除いて、配本された全品を通路側に山積みしました。昨夜のクロ現や今朝のニュースでは、徹夜してまで発売初日に読んでしまうという人を見ましたが、この店はそんな騒ぎは無縁です。在庫があるのを確かめて買う人もいればそうでない人もいます。

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妻と離婚し、妻と友人関係になる中年画家が主人公。雨田という友人の描いた「騎士団長殺し」という絵を発見します。 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

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追伸 興味深いのが村上春樹さんの単独インタビュー記事です。

村上春樹さん「騎士団長殺し」語る 「私」新たな一人称

騎士団長殺しというタイトルが、まず最初にあったんです」

「聴くたびに、(モーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」に登場する)騎士団長って何だろうって思ってたんです。僕は言葉の感触の奇妙さにひかれる。騎士団長殺しっていう小説があったらどういう話になるだろう、という好奇心が頭をもたげる」

「でも『1Q84』を書ききって、また一人称に戻りたい気持ちがあった」

「ただ『僕』からは離れようと。『私』という新しい一人称になって、主人公のある種の成熟を感じています」

「『世界の終(おわ)りとハードボイルド・ワンダーランド』は、もどかしかった。物語はどんどん湧いてくるけど、それを制御する文体がなかったから。『ノルウェイの森』をリアリズムで書ききったのが転換点。そのあとの『ねじまき鳥クロニクル』で、リアリズムと非リアリズムのかみ合わせが、初めてうまくいった」

「自分で言うのも何だけれど、20年の差を感じた。昔書けなかったことが書ける手応えがある」

「僕はこれまで、家族を書いてこなかった。でも今回は、一種の家族という機能がここで始まる」

「僕自身が年をとってきたからかもしれないけど、何かを引き継いでほしいという気持ちがあるんです。それが何なのか、自分でもよくわからないけれど」

「この物語の中の人は、いろいろな意味で傷を負っている。日本という国全体が受けた被害は、それとある意味で重なってくる。小説家はそれについて、あまり何もできないけれど、僕なりに何かをしたかった」

「歴史は集合的な記憶だから、過去のものとして忘れたり、作り替えたりすることは間違ったこと。責任を持って、すべての人が背負っていかなければならないと思う」

「どれほど高い壁を築いて侵入者を防ごうとしても、そのような行為は我々自身を損ない、傷つけるだけ」

「最近世界各地で見られる、異物を排除すれば世の中よくなるという考え方へのおそれが、すごく強い。社会の影の部分を何でも排除しようという流れが強くなってる。ただ僕はそういうことを、政治的なステートメントとしてはあまり言いたくない。物語という形で語っていきたいんです」

「長編小説はツイッターとかフェイスブックみたいな、いわゆるSNSとは対極にある。短い発信ばかりが消費されていくのが今の時代。読み始めたらやめられないものを書くのが、僕には大事なことです」

「物語は即効力を持たないけれど、時間を味方にして必ず人に力を与えると、僕は信じている。そして、できればよい力を与えられたらいいなと希望しています」村上春樹さん「騎士団長殺し」語る 「私」新たな一人称:朝日新聞デジタル

 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

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