本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

福永信さんが薦める三冊 2017.04.16

 

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福永信が薦める文庫この新刊

「植物はそこまで知っている ---感覚に満ちた世界に生きる植物たち」ダニエル・チャモヴィッツ 著(河出書房新社

視覚、聴覚、嗅覚、触覚、位置感覚、そして記憶―多くの感覚を駆使して高度な世界に生きる植物たちの知られざる世界。

植物はそこまで知っている ---感覚に満ちた世界に生きる植物たち

植物はそこまで知っている ---感覚に満ちた世界に生きる植物たち

 

ヒトと植物はこんなにも「共通」するところがあるかと驚く。 

  

「アルキビアデス クレイトポン」プラトン 著(講談社

自惚れの強い政治家・軍人で、のちにデマゴーグとなるアルキビアデス、そして『国家』にも登場する政治家クレイトポンの名を冠した二つの対話篇。前者では自己を認識することを通して人間一般の理解が試みられ、後者は「徳」のありようを追究するとともに、それを修得する方法を問う。練達の訳者による、ソクラテス哲学の根本を伝える珠玉の二篇!

アルキビアデス クレイトポン (講談社学術文庫)

アルキビアデス クレイトポン (講談社学術文庫)

 

「正義」のありかを問いながらソクラテスが美貌の青年を追い詰めていく対話だけの世界。現代文学顔負けな面白さ。 

 

「誘拐されたオルタンス」ジャック・ルーボー 著(東京創元社

聖ギュデュール教会で発見された遺体!ブロニャール警部は捜査を始めた。別れたはずのモルガン(実はポルデヴィア公国皇子ゴルマンスコイ)とオルタンスは再会し恋が再燃する。しかし、ゴルマンスコイと瓜二つの、もう一人のポルデヴィア皇子クマノロイグスが彼女を誘拐する。危うしオルタンス!行方不明の猫アレクサンドル・ウラディミロヴィッチはどこに?

誘拐されたオルタンス (創元推理文庫)

誘拐されたオルタンス (創元推理文庫)

 

ミステリーでありながら「誘拐」のストーリーよりも細部の作り込みが面白い。