「筧千佐子 60回の告白 ルポ・連続青酸不審死事件」安倍龍太郎 著(朝日新聞出版)
死刑制度が持つ意味を深く考えようという意識が高まっています。
しかし、実際はどうなのでしょうか。
社会が求めるのは処罰よりも、二度と同じような事件が起きないようにすることです。
事件の動機や死刑囚の心理状態まで含め、疑問がすべて解決されているのでしょうか。
最近執行されたオウムの例が示すように拙速感を感じざるを得ません。
暗く深い井戸の底を覗くように、当事者の心中を聞き取り社会に還元しなくては問題解決につながりません。
これができるのは報道に携わる人たちだけだということをルポルタージュは語っています。
筧千佐子 60回の告白 ルポ・連続青酸不審死事件
殺人を含む4つの事件で起訴された被告・筧千佐子。
被告は結婚・交際を繰り返し、遺産を狙って相手男性を青酸中毒で次々に殺害したとみられている。
当時の週刊誌は被告を「死の後妻業」と謗った。
普通の明るいおばちゃんは、どうして「凶悪犯」になったのか──
誰よりも長時間、拘置所内の被告と対話を重ねた記者が、
面会記録に加え、詳細な裁判記録と関係者への取材から、
「筧千佐子」の実像に迫る。
様々な視点から検証していくことで、事件の全体像を見る精度が高まります。
筧千佐子が逮捕される八カ月前の二〇一四年三月、マスコミの間では「大事件になるぞ」と囁かれていた。四人目の夫の青酸中毒死疑惑を端緒として始まった捜査で、千佐子と交際、結婚した高齢男性がことごとく不審死していたことが判明したのだ。彼らの死によって、財産を手にしていた彼女のことを多くのメディアが“後妻業”と報じた。一見して“関西のおしゃべり好きなオバちゃん”は、なぜこんな凄惨な事件の主役となったのか。
拘置所での面会を通じて、筆者にしか書けない衝撃の問題作!