「炎上とクチコミの経済学」山口真一 著(朝日新聞出版)
新聞やテレビを賑わす炎上事件。
ネットの世界に関わりがない人から見ると「大変なことが起きている」ように感じる話題は、ふだんネットに接している人から見ると日常茶飯事のありふれた風景なのだそうです。
「それはたとえて言うと、中東・イスラエルで、毎日のようにイスラエル軍の空爆を受けているアラブ側のくらしに似ている」と外国経験豊かな記者から聞きました。
「近くに爆弾が落ちても騒いでいるのはたいてい知識人や指導者層であり、繰り広げられる非難合戦は炎上そのもの。炎上事件に関わるのがネット社会の知識階級である点が似ている」というのです。
炎上事件に関わる人の多くは、「バカなヒマな人」「社会的弱者」という印象がもたれがちですが実は「年収が高い」「主任・係長クラス以上」だといいます。
許せないことをうやむやにせず、正義感から炎上に参加して鬱憤を晴らすところがよく似ています。
限定された炎上が飛び火をするとネットの話題に無関係な人たちを巻き込むことがあります。
近くに爆弾が落ちても騒がない。騒げない。逃げられない人たちを巻き込むリスクから、「年収が高い」「主任・係長クラス以上」の人たちは目をそらし続けています。