「死ぬこと以外かすり傷」箕輪厚介 著(マガジンハウス)
出版社勤務を続けながら、副業として別の出版社からベストセラーを生み出し続けるカリスマ編集者の自伝本。
ベストセラーづくりの名手が編集した本なので、読み始めたら三時間で読了できます。
スピード感があふれていて、要所要所にアクセントが散りばめられ、裏話も満載なところが読みやすさのポイントです。
コピーもふくめ大胆な物言いですが、主張するところはまっすぐで、読み終わって嫌な思いをすることがないのがベストセラーたる所以です。
年配の読者には「副業元年の時代にパラレルワークの波が押し寄せる不安」を感じさせる本です。
若い読者には腕一本で生きていく勇気を与えてくれます。
幻冬社は文芸本以外にはからきし弱いと言われた時期がありました。
そう言われてみれば幻冬舎からビジネス本を見かけるようになったのはごく最近。
弱い分野に目を付け、隙間を突いてビジネス本を展開してうまくやり抜けたというのは初耳でした。
副業で活躍する著者が本業を捨てない理由を「本業を持つと本業のリソースを使って好きなことができる」と語っています。
寄生虫になっても生きよという姿勢です。
東京で消耗したくないといってすぐに会社をやめるのもスッキリしています。
しかし、自分の力を拡張してくれるリソースを考えると、嫌になったという理由だけで辞めてしまうのはもったいない。
本書を読んでハマった人は箕輪さん自身が運営するネットサークル・箕輪塾をのぞいて見るのをお薦めします。
しかし、本業の隙間を自らつくり出し、将来の自分のために活用するという生き方は、世の中を渡りきる知恵だと思います。
参考になるヒントが満載の本です。