本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

音楽通なら思わず拍手

コアな品揃えで音楽ファンには「聖地」とも称される「ディスクユニオン」には商品知識が半端ではないスタッフがいます。

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今から3年前の2012年、首都圏を中心にレコードやCDの販売をするチェーン店として知られる「ディスクユニオン」のスタッフが中心となって、出版部門を立ち上げました。それが「DU BOOKS」です。 

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 「ディスクユニオンでは、これまで複数の自社レーベルから音楽ソフトのリリースを継続してきましたが、今後は音楽だけでなく、その関連カルチャーの書籍・雑誌の出版から流通までをも行っていきます。」と同社のサイトにあるように、扱うテーマはサブカルチャーや美術などにも及びます。

書店の担当者の話ではDUBOOKSの特徴は「編集に携わるのは出版社の人間というより、その世界に精通したプロの店員」と表現した方がふさわしい本作りだそうです。その知識や熱意が半端ではないことから、DUBOOKSの本に興味を持つは放送人は多いといいます。

「本屋は熱意のある出版社が好きです。部数は伸びなくても確実にファンがつくからです」と放送局の書店は平台に一定のスペースを割り当てて応援しているようです。最近のおすすめタイトルを聞きました。

  • 「音楽マンガガイドブック 」(音楽マンガを聴き尽くせ)松永 良平 (監修), 師岡 とおる (イラスト), 野中 モモ (その他), 多屋 澄礼

音楽雑誌中心に原稿執筆。編集集団リズム&ペンシルとして書籍編集も手掛けてきた筆者の趣味と実益が結実した一冊。細かすぎる点が評価を分けます。

  • 「バーのマスターはなぜネクタイをしているのか? 僕が渋谷でワインバーを続けられた理由」林 伸次著

放送局から歩いて3分の路地裏にそのバーはあります。バブルの頃は飲み屋が立ち並んでいた一帯も、店の数は激減、跡地には高層ビルの工事が始まっています。長年店を維持してきたのは能力もさることながら地道な努力の積み重ねであり、編集者の着眼点が光ります。

  • 「少女系きのこ図鑑」玉木えみ著

玉木えみさんは、2012年、東京工芸大学芸術学部マンガ学科卒業。きのこなどの菌類と女の子のイラストをメインとして描き、「おしゃれでかわいく、すこしふしぎ」をスローガンに日夜創作活動を続けるイラストレーターです。

音楽だけでなく、ディスクユニオンのファンの好みを知り尽くした個性的なラインナップです。大手書店より放送局の書店のような小さな店の方がこの本を輝かせて見せるのかもしれません。