本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

悩める創作者のための新しい類語辞典

本は衝動買いで買われる商品なのだそうです。暇つぶしに立ち寄った本屋で気がつくと何か買っていたという経験は誰にでもあるはずです。

人間を描くあらゆる創作者にとってよき友となる新しい「辞典」という惹句にさそわれて手に入れてしまったのがこの本。

「感情類語辞典」アンジェラ・アッカーマン 著(フィルムアート社)

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言葉の連想ゲームとでもいいましょうか。一つの感情表現をするとき、同じ言葉を使い回していると次第に煮詰まった気分に襲われることがあります。本書は外国の著者によるものですが、訳者の滝本杏奈氏がうまく邦訳しています。

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定型表現をそのまま使っても読者にそっぽを向かれます。作文の教室では「ステレオタイプ」な表現は避ける。とよく言われたものです。定型表現にひねりを加えて新しい表現に挑戦することで、自分だけの言い回しを作ることは可能だと言われると、少し勇気が出てくる気がします。

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例えば「絶望」という項目では、外的なシグナルでは「やせ衰えた姿」「ひどい食生活」、内的な感覚では「胸にぽっかりと穴が空いたよう」などというように、同じ感情表現でも違った角度から見た言葉を使うと、文章全体の幅が広がります。

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用例も日本人なら普通しないような行為もあります。類語辞典というより、言葉のヒント集といった方がわかりやすいかもしれません。気分転換にぺらぺらめくると「頭のコリ」がほぐれるような気分になれます。

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