依頼があれば、依頼者の自宅などに出張して料理の腕を振るう「出張料理人」という職業があります。料理番組の制作者から資料になるような本はないのか紹介を受けたので探してみると数えるほどしか出版物が見当たりません。
「世界出張料理人」狐野 扶実子 著(KADOKAWA/角川書店)
「出張料理人が教える 本当に使えるおもてなし本 」マカロン由香 著(講談社)
出張料理人が教える 本当に使えるおもてなし本 (講談社のお料理BOOK)
- 作者: マカロン由香
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/02/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「出張料理人が教える レシピと盛りつけのおもてなしルール 」(講談社)
出張料理人が教える レシピと盛りつけのおもてなしルール (講談社のお料理BOOK)
- 作者: マカロン由香
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/11/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「出張料理・おりおり堂 卯月~長月」 安田依央 著(中央公論新社)
一流の腕前を持つ料理人が、その腕を依頼人のためにふるうというサービスです。需要が限られる点がその普及を妨げる理由になっているようです。(お値段もかなり張るようです)さらに食品衛生法や飲食店営業許可関連の法令など遵守しなくてはならない課題も多いようです。
きわめて厳しい環境の中、自らの生き方も重ね合わせてこの仕事を続ける人に密着した番組が注目を集めました。
再放送 2017年1月1日(日) 午後1時30分
ETV特集 アンコール「女ひとり 70歳の茶事行脚」
おもてなしの原点と言われる「茶事」に人生をかけ、全国行脚を決意した女性がいる。日本で数少ない茶事の出張料理人、半澤鶴子さん。茶事とは千利休が確立した4時間ほどの茶会だ。懐石から始まり酒を振るまい、最後にお茶でもてなす。70歳を機に茶事の神髄を極めようと、鍋釜と茶道具をバンに積み、着物姿で車を運転。全国各地で出あった初対面の人々に、その土地の食材を使った料理とお茶をふるまう。2年に渡る旅に密着した。
一般のグルメ・料理番組だと食材の魅力や調理の技術に向かいがちですが、この番組では料理を提供する側のものの見方や人生観を掘り下げる方向に向かいます。
半澤鶴子さんは千葉で出張茶事といういわゆるケータリングサービスを営む料理人です。
お客の求めに応じて、茶会の席上で振る舞われる料理を手がけるサービスは出張茶事と呼ばれています。
広島県生まれの半澤さんは不遇の幼少期を過ごしました。苦労しながら調理の腕を磨き店を構えます。人生を振り返る時期を迎えた今、全国行脚をしながら、出会った人に料理を振る舞うという予てから抱いていた夢を実現しようと思い立ったのだそうです。
やや強引とも見える道行きですが、出会った人々は半澤さんの人柄に接し、彼女がめざす一期一会のもてなしに時間を共有するさまは、映画「バベットの晩餐会」の一シーンを見るようです。
昨今流行になった「おもてなし」という言葉が、上滑りしない形で届いてくるような読後感を感じます。
茶懐石は日本料理の一種ですが、高級日本料理ではございません。珍しい食材や高級食材を使う料理が茶懐石ならば、一般の方がつくることは無理ではないでしょうか?拙庵の考える茶事の懐石料理とは、亭主が客の為に差上げる濃茶の為のお食事。身近で取り揃えられる旬の食材を利用しますが、日頃の家庭料理よりひと手間かけたお料理がお茶人のもてなし茶懐石料理と考えております。
茶事の理想・信念は「茶事懐石は家で作るもの」本来、茶事とは、高級食材や専門の板前がいないと出来ないものではないと考えています。ただ、ちょっとした手間や工夫が必要だと思います。
ちょっとした手間や工夫といいますが、それに加えた信念というものの大切さを改めて感じます。
ディレクター:河村正敏
制作統括:鶴谷邦顕
プロダクション:セイビン映像研究所
半澤さんの本はこの2冊。
「鶴の茶寮 茶事懐石」向付基礎編 15品掲載/同 向付応用編 8品掲載
直接販売のみの本のようです。お問い合わせは・・・
半沢鶴子さんのお店「鶴の茶寮」千葉県東金市押堀676-9 電話:0475-54-2518