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本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

だいじょうぶ。「バー・リバーサイド」

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「バー・リバーサイド」吉村喜彦*1 著(角川春樹事務所)

二子玉川にある大人の止まり木「バー・リバーサイド」。炭酸の音とジンとライムの爽やかな香りが五感を刺激するジン・トニック、水の都で生まれた桃のカクテルベリーニ。月の光がウイスキーになったムーンシャイン、真夜中のペペロンチーノ。チェダーチーズにギネスを混ぜ込んだポーターチーズ…など。マスターの川原とバーテンダーの琉平は、おいしいお酒&フードとあたたかな心づかいでお客を迎える。「花の酒、星の酒」「自由の川」など五篇収録。

サントリーで営業や広告畑を歩んできた著者の本です。普段は置かれない宣材が届けられたので飾ったところ、著者は元広告マンだったそうです。経歴に関心を持ち調べるとサントリー宣伝部出身。サントリー宣伝部といえば開高健山口瞳が大活躍した伝説の職場です。 

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

やってみなはれみとくんなはれ (新潮文庫)

 

書店員によると著者は世界の食と音楽がテーマの番組「音楽遊覧飛行」(NHK-FM:火、5時20分)でDJを務める吉村喜彦さんだそうです。

www4.nhk.or.jp

1954年生まれ。年齢から推測すると80年代から90年代のバブル期は30代を迎えた頃です。宣伝部に在籍したとするならば六本木あたりの盛り場は大賑わい。クリスマスの頃ならば深夜タクシーも拾えなかったはずです。今では考えられませんが、家庭より職場、残業時間は仕事量のバロメーターで働くこと、遊ぶことととにかく威勢のいい時代でした。

サントリー宣伝部には「真剣に遊ぶ」文化がありました。先輩からは「遊びを遊んではいけない」と言われました。本を読み、音楽を聴き、映画を観て、五感を磨けと教わりました。私も本気で遊んで仕事をし、81年には朝日広告賞を受賞することもできました。

電通に代表されるように、今や広告を取り巻く環境は大きく様変わり。働き方も変わらざるを得ない時代に突入してしまいました。関係者なら栄枯盛衰を感じながら読む一冊かもしれません。 

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)

バー・リバーサイド (ハルキ文庫)

 

 

*1:小説家、ノンフィクション作家。大阪出身。京都大学教育学部卒業後、サントリーに入社。宣伝部、広島支店営業職などを経験したのち退社し作家となる。小説とノンフィクション両方を執筆。小説に『こぼん』『ビア・ボーイ』、ノンフィクションに『マスター。ウイスキーください 日本列島バーの旅』『漁師になろうよ』『リキュール&スピリッツ通の本』『食べる、飲む、聞く 沖縄美味の島』ほか