ドラマとの比較が楽しみな原作本です。
「眩(くらら)」浅井まかて 著(新潮社)
偉大すぎる父・北斎、兄弟子・渓斎英泉への叶わぬ恋、北斎の名を利用し悪事を重ねる甥―人生にまつわる面倒ごとも、ひとたび筆を握れば全て消え去る。北斎の右腕として風景画から春画までをこなす一方、自分だけの光と色を終生追い続けた女絵師・応為。自問自答する二十代から、傑作「吉原格子先之図」に到る六十代までを、圧倒的リアリティで描き出す。
天才画家・北斎を陰で支えつつ、晩年には独自の画風にたどり着いた北斎の娘・葛飾応為「お栄」。彼女の半生を綴った、直木賞作家・朝井まかて氏の小説『眩』のドラマが放送されます。
原作では絵を描くことに集中するあまり身の回りには無頓着だった彼女の人間像や、北斎の名前を使って放蕩三昧を繰り返す甥の存在などが克明に書かれています。ノンフィクションに近いリアルな描写が印象的でした。
放送関係者とくに美術担当者にとっては情報はあるにこした事は無くドラマ化しがいのある原作だったのではないでしょうか。