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#山本昌作「ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所」

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「ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所」山本昌作 著(ダイヤモンド社

京都府宇治市近鉄大久保駅の近くにピンク色に輝く鉄工所があります。

業界平均3~8%を大きく上回る利益率(20~25%)。

「多品種単品のアルミ加工メーカー」として知られるHILLTOP株式会社です。

成功の鍵を探ったのがこの本「遊ぶ鉄工所」です。

著者はこの会社の二代目経営者。

「合理化」の徹底と「遊ぶ鉄工所」という両極端の言葉に気持ちを持っていかれそうなワクワク感を感じます。

ページをめくればわかりますが、この本で語られる「合理化」とは数字上の生産性追求ではないようです。

もともと自動車部品を製造する小さな鉄工所として創業。

「人間をロボットのように扱う製造業の現実」に耐えられなかったと語る著者が挑んだのが「多品種少量生産」でした。

「量産ものは、やらない」「ルーティン作業は、やらない」「職人は、つくらない」といった型破りな発想で「利益率20%を超えるIT鉄工所」と絶賛される町工場に育ちました。

取引先は国内だけでなく世界中で、2018年度末に3000社を超える見込です。
中にはウォルト・ディズニー・カンパニーやNASA(アメリカ航空宇宙局)、自動車配車アプリ「Uber」を運営するウーバー・テクノロジーズなど世界トップ企業も含まれます。

製造業の最終目的は「ものをつくること」ではありません。
これからの製造業は、ものづくりからサービス業に変わっていかなければいけません。
いわば「製造サービス業」でないと生き残っていけないと私は確信しています。

成功の鍵は著者の「反骨精神」にあります。

「油まみれの工場を〝白衣を着て働く工場〟にしてみせる」と語る経営者の自信からは、どうしたら、人がわくわく仕事ができるか。モチベーションは自動的にアップするか。という答えが聞こえてきそうです。