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#浦沢直樹「夢印」

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「夢印」浦沢直樹 著(小学館

 

1793年の開館以来、200年以上の長い歴史をもつ世界に冠たるフランス・ルーヴル美術館

美術館は新たな試みとして「ルーヴル美術館BDプロジェクト」を立ち上げました。

BDとは「バンド・デシネ」のこと。フランス語圏で発達してきた漫画文化をそう呼びます。エンキ・ビラルメビウスなどの作家がよく知られています。

ルーヴルではこのBDを、「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」に次ぐ第9の芸術と位置づけたのです。

 

放送局にファンが多い漫画家が、「20世紀少年」「モンスター」などで知られる漫画家の浦沢直樹さん。浦沢さんプロジェクトに挑んだ作品が出版されます。

 

今から4年あまり前、2014年頃にルーヴル美術館から浦沢直樹氏に漫画作品の執筆依頼がありました。ルーヴルは漫画を「第9番目の芸術」と認め、ルーヴル×漫画の共同プロジェクトを企画していたのです。浦沢氏は当時抱えていた連載作品で忙しく、長いことその企画に取りかかることができませんでした。その詳しい経緯は、単行本『夢印』豪華版の浦沢氏のあとがきに詳しく書かれてありますが、「9番目の芸術」としてではなく「日本漫画」として描く。漫画は、漫画であって、より自由で、馬鹿馬鹿しくて、美しい。果たして、浦沢直樹氏が出した答えは、「イヤミ」を主人公にするというものでした。赤塚不二夫先生の生み出した『おそ松くん』のキャラクター「イヤミ」。今も東京のどこかに生きていて、日本、フランス、世界の壮大なドラマのうねりを生み出す中心となる。浦沢直樹氏が生み出す「日本漫画」の自由、馬鹿馬鹿しさ、美しさに、是非、酔いしれてください。(編集担当)