紅蓮の炎に焼かれるような苦しみを味わった今年の夏もそろそろ終わり。
さあ!落ち着いて読書が楽しめる秋がやってきます。
そして、待ち構えていたかのように棚を埋めるのが入荷したてのミステリー単行本です。
旧作も含めミステリーは一年を通して売れるジャンルです。
印象的な作品が現れるのもまた秋が多いように思います。
そこで、ミステリー2018年に出版された作品の中から、最近の売れ筋をピックアップしてみました。
1.「火のないところに煙は」
本年度ミステリ・ランキングの大本命! この面白さ、《決して疑ってはいけない》……。「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」。突然の依頼に、かつての凄惨な体験が作家の脳裏に浮かぶ。解けない謎、救えなかった友人、そこから逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決を目論むが――。驚愕の展開とどんでん返しの波状攻撃、そして導かれる最恐の真実。読み始めたら引き返せない、戦慄の暗黒ミステリ!
芦沢 央 新潮社 2018-06-22
2.「未来」
父を亡くしたばかりの十歳の少女・章子のもとに、三十歳の章子が書いたという〈未来からの手紙〉が届く。その手紙に励まされた十歳の章子は〈大人章子〉に向けての返事という形で日々の日記を書き始める。 意地悪なクラスメート、無気力だったママの変化、担任の先生の言葉……辛い出来事があっても、〈未来からの手紙〉に記されていた〈あなたの未来は、希望に満ちた、温かいもの〉という言葉を支えに頑張ってきた章子。 しかし、中学に入った彼女を待っていたのは、到底この先に幸せがあるとは思えない事態だった……。
3.「出版禁止 死刑囚の歌」
『出版禁止』は第2弾も、やっぱり、すごかった! 幼児ふたりを殺した罪で、確定死刑囚となった男。鬼畜とよばれたその男、望月は、法廷でも反省の弁をひとことも口にしなかった。幼い
姉弟は死ぬべき存在だった、とも――。本書の「編纂者」はこう書いている。「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」。あなたには真実が、見えましたか?
長江 俊和 新潮社 2018-08-22
4.「鏡の背面」
薬物依存症患者やDV被害者の女性たちが暮らすシェルターで発生した火災。「先生」こと小野尚子が入居者を救い、死亡。盛大な「お別れの会」が催された後、警察から衝撃の事実が告げられる。「小野尚子」として死んだ遺体は、別人のものだった。ライターの山崎知佳は、過去を調べるうちに、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が…。傑作長編サスペンス。
5.「ロンリネス」
東京湾岸のタワマンに暮らす岩見
有紗は、夫とのトラブルを乗り越えたかに見えたが再びぎくしゃくしている。そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近し、ママ友で
W不倫中の美雨ママに相談をするうちに、
有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――
6.「スケルトンキー」
週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を高めることで、“もう一人の僕”にならずにすむからだ。昔、
児童養護施設<青光園>でともに育ったひかりさんが教えてくれた。僕のような人間を、
サイコパスと言うらしい。
ある日、<青光園>の仲間の“うどん”から電話がかかって来て、平穏な日常が変わり始めた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう――。
7.「日傘を差す女」
快晴のクリスマス、都心のビルの屋上で、胸に銛が刺さった血まみれの老人の遺体が発見された。老人は
和歌山県太地町に住む
捕鯨船の伝説の砲手と判明。捜査本部は他殺を裏づける物証を得られぬまま、自殺と結論づけた。しかし、その直後、酷似した凶器で殺害された遺体が次々と見つかる。警視庁捜査一課の草刈大毅と立石豊樹のコンビが、赤坂、和歌山、青森で地を這う捜査の果てにつかんだ真相は…。『星月夜』以来、六年ぶりとなる社会派
推理小説。
8.「ミダスの河 名探偵・浅見光彦VS.天才・天地龍之介」
信玄の
埋蔵金伝説が残る山梨で、殺人と誘拐が同時発生。それぞれの事件を追う二人の名探偵が邂逅した時、武田家を支えた、戦国時代から続く名家の謎が浮上する!
9.「骸の鍵」
駅前のコインロッカーから見つかった女性の左腕。
「ロックスミス(錠前師)」を名乗る犯人はヒントとなるメッセージと
ロッカーの鍵を残しており、引き続き身体の断片を探すよう指示してくる。
筋読みに優れた女性刑事・城戸葉月を中心とした警視庁の捜査チームは都内を奔走。
はたしてロックスミスが仕掛けた罪深いゲームの真意とは?
大人気警察小説作家が放つ衝撃の長編ミステリー!
10.「ボーダレス」
なんてことのない夏の一日。でもこの日、人生の意味が、確かに変わる。教室の片隅で、密かに小説を書き続けているクラスメイト。事故で失明した妹と、彼女を気遣う姉。音大入試に失敗して目的を見失い、実家の喫茶店を手伝う姉と、彼女との会話を拒む妹。年上の彼女。暴力の気配をまとい、執拗に何者かを追う男。繋がるはずのない縁が繋がったとき、最悪の事態は避けられないところまで来ていた―。
毎年恒例の「このミステリーがすごい2019」。
対象作品は2017年11月1日~2018年10月31日発売です。
期間も残りわずか。どんな隠し玉が現れるか楽しみです。