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#ふろむだ「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」

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「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」ふろむだ 著(ダイヤモンド社

Googleの検索で46万近くのヒットを稼ぎ出すこの言葉は広辞苑にも乗っていません。
何故ならば著者の"ふろむだ"さんの造語だからです。
ふろむださんはネットで大人気のブロガーの一人。
「視覚資産」をきっかけに拝読するようになりました。
 
キーワードを紹介したのは「林先生が驚く初耳学」という番組。
「本当の実力なんてねえ、誰がわかるかって問題があるんですよ」
林修さんが引用したのが
『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』という本です。
私たちが初対面の人を判断する時、紹介された肩書きで信用度を判断しますが、そのことを「錯覚資産」と言うのです。
なぜ錯覚と言うかと言うと、
肩書きがどうあれ、人には良い面もあれば悪い面もあります。
人の信用度は総合力で判断しなくてはなりません。
しかし、人は肩書きを見た瞬間に信用度を判断します。
優秀な大学、一流企業、社会的な地位の高い職業など。
銀行がすぐにローンを組んでくれるようなものです。
反対もしかり、犯罪者はさることながら、学歴、職歴などの尺度が評価の物差しになります。
評価の下駄が上がったり下がったりするわけです。
この錯覚は一度頭に記憶されたら容易に変わることはありません。
隠れた実力が後から出てきてもダメです。
後から判明したその人の実力を加味した総合点よりも、
第一印象で得た点数が評価の基準になる。
この錯覚に注目すべきと言います。
ではなぜ資産なのか。
これは、その錯覚を逆手にとって自分を表現していくことが自分を守るための武器になると言う説明です。
 
副業元年の今年、働く現場は多様化が叫ばれています。
多動力と言う言葉に象徴されるように、個人が自分の能力を売る時代です。
他人は見える部分で自分を評価します。
自分からアピールしない限り自分が売れない時代なのです。
その時代に自分をアピールする上で、不可欠なのが自分の長所を強く印象付けること。つまり錯覚です。
この錯覚を仕事に結びつけることを錯覚資産として定義したのが本書です。
本書の前半の軽妙なやり取りで展開しますが、後段になると説得力のある情報が読者の気づきを促します。
心理学や行動心理学の背景を学ぶことで、例えばプログの記事づくりに応用ができます。
本書の表紙を飾るのはチャラい物言いの兄ちゃんです。
ぱっと見、中身の薄いビジネス書の印象を受けますが、
実は深い本でした。