「安藤百福 私の履歴書 魔法のラーメン発明物語 」安藤百福 著(日本経済新聞出版社)
波瀾万丈の自伝!無一文から再起し、
世界初の即席めん「チキンラーメン」、
ピンチをチャンスに変えるという言葉を聞くと、
インスタントラーメンの開発者で知られる安藤百福さんを思い出します。
ドラマを楽しむ中高年視聴者にとっては昔の人。
懐かしい記憶を生んだ人物です。
しかし、同じ視聴者でも若い世代の視点で見ると違います。
彼の生き方は極めて示唆に富んだヒントに満ちています。
なぜなら、彼の行動は今の言葉でいうとスタートアップだからです。
大企業で消耗品になるより、自ら突破口を切り開けという活力を感じます。
多動力が資本というベンチャー企業。
先駆者としての安藤さんの自伝は生きる知恵に満ちています。
「食足世平(食足りて世は平やか)」
「今日の非常識は明日の常識」
今、私たちが立っている生活基盤は確かなものでしょうか。
確かなものだと感じているのは単なる錯覚にすぎなくて、
"根拠なき自信"に踊らされているだけなのではないでしょうか。
昭和な人たちがノスタルジックに語る安藤百福像に惑わされてはいけません。
チキンラーメンの発明者という、何かヒヨコちゃんのようなふんわり優しい発明家としてではなく、
時代の常識を疑い、それまでになかったものを見つける人。
「ゼロからイチ」を生み出すイノベーター。
現代に置き換えるとスティーブ・ジョブスやピーター・ティールをイメージして読んでいくのが正しい読み方です。