本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#幡野広志「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」

f:id:tanazashi:20181016162005j:plain



 

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」幡野広志 著(PHP研究所

 

銀座四丁目にあるソニーイメージングギャラリーで幡野広志さんの写真展が開催されています。

優しい写真|幡野広志|note

 

写真家の幡野広志さんは現在末期がんで余命3年と診断されています。

昨年12月にそのことを公開したところ、ツイッター経由で知った糸井重里さんがほぼ日で取り上げました。 

www.1101.com

その記事を読んで、幡野さんの人となりを知ることになりました。

自分を責めず、人に当たらず。

畑野さんの生き方は静かに心の中に染み渡ってくるようです。

人生ってどうなるかわからない。
だからといっていま苦しんでいる人にたいして“人生どうなるかわからんぞ、あきらめるな!”なんてことは口が裂けても言いたくない。

表現することをあきらめたくない人にとっては

多分勇気をもらえる展覧会だと思います。

 

11月10日(土)、11日(日)にギャラリートークも予定されています。 

幡野広志作品展「優しい写真」ギャラリートーク<ゲスト:糸井重里さんの回> in東京 - パスマーケット

幡野広志作品展「優しい写真」ギャラリートーク<ゲスト:鈴木心さんの回> in東京 - パスマーケット

 

www.1101.com

 

【ブックレビュー】話題の本・週刊エコノミスト2018.11.13

エコノミスト2018年11月13日号レビュー欄で紹介されたビジネス書。

f:id:tanazashi:20181106165138j:plain

 

「未来をはじめる: 「人と一緒にいること」の政治学

「それでも強い日本経済!」

「仕事と家庭は両立できない?:「女性が輝く社会」のウソとホント」

「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。」 

【ブックレビュー】BOOKS&TRENDS・週刊東洋経済2018.11.10

週刊東洋経済2018年11月10日号BOOKS&TRENDSで紹介された本です。

 

f:id:tanazashi:20181106173156p:plain

 

「良き社会のための経済学」

「民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道」

「脳が老いない世界一シンプルな方法」

「アディオス! ジャパン 日本はなぜ凋落したのか」

【ブックレビュー】週刊ダイヤモンド2018.11.10

三省堂書店有楽町店主任が選んだ ビジネス書です。

週刊ダイヤモンド2018年11月10日号

f:id:tanazashi:20181106164127j:plain

 

 

「すいません、ほぼ日の経営。」

「ハーバード・ビジネス・レビュー リーダーシップ論文ベスト10 リーダーシップの教科書」 

「国境なき助産師が行く――難民救助の活動から見えてきたこと」

ビジネス書ベストセラー2018.11.10

週刊ダイヤモンド2018年11月10日号に掲載されたビジネス書ベストセラーです。

f:id:tanazashi:20181106162019j:plain

 

1.「頭に来てもアホとは戦うな! 人間関係を思い通りにし、最高のパフォーマンスを実現する方法」

2.「学びを結果に変えるアウトプット大全」

3.「バカとつき合うな」

4.「1分で話せ」

5.「「3年で資産1億円」の築き方」

6.「死ぬこと以外かすり傷」

7.「できる人は必ず持っている一流の気くばり力」

8.「いま君に伝えたいお金の話」

9.「才能の正体」

10.「ポケット版「のび太」という生きかた」

#光嶋裕介「ぼくらの家。 9つの住宅、9つの物語」

f:id:tanazashi:20181016162748j:plain



 

「ぼくらの家。 9つの住宅、9つの物語」光嶋裕介 著(世界文化社

良い建築家の建てた家は"背骨"のようなものがあります。

漫然と過ごせて居心地がいいだけではない、世界観や哲学のようなものを住人は受けて暮らすことになるのです。

その正体とは何か。

先日NHKで再放送されたドキュメンタリー「建築家の家」を見て改めて感じました。

番組で紹介されたのは建築家・清家清さんと石山修武さんの自宅です。

清家清さんの自宅は世田谷にある「私の家」と呼ばれる小さな家。今私たちが住んでいる間取りの基礎を作ったと言われる伝説の住宅設計です。間仕切りを取り払った設計は狭い空間を感じさせないだけでなく、家族の絆まで配慮した設計思想が込められていたことが、改めてわかりました。また、鉄の素材にこだわった異色の建築家石山修武さんの家づくりを見ると、へんてこりんな建築に迷惑を感じながらも暖かく見守る石山一家の暖かさに圧倒されました。

身の丈にあった家に住むということは、自分の思いや欲望を叶えてくれる家に住むことではなく、自分がそれまで気がつかなかった隠れた自分を引き出してくれる家に出会うことなのかもしれません。そしてそれは施主の生き方、考え方まで咀嚼して設計図に落とし込む力を持った建築家に出会うことなのではないかと思います。

 

 

#広中一成「牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか」

f:id:tanazashi:20181016164513j:plain



 

牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか」広中一成 著(講談社

負け戦の組織にはこんな人が必ずいる

組織で仕事をしていると、たまに負け戦というのか、成果が絶望的に期待できないプロジェクトに巻き込まれることがあります。そんなプロジェクトには必ずと言っていいほど「無責任」な上司が居て、ヒトモノカネのリソースが不足しているのにもかかわらず、進軍ラッパだけが鳴り響く仕事場はよく「インパール作戦」と呼ばれました。その語源となったのが本書の主人公・牟田口廣也です。

 

インパール作戦の経緯は「失敗の本質」で分析されていますが、今の感覚からするとまさに「昭和的」。愚将の存在を許した環境は少し前の体育会系のメンタリティに似ています。

1中 今日すぐに出発する(自身の身に砲火が近づいたので慌ててトンズラ)
2左 兵力の温存を図っているとしか考えられない(兵站を固める師団長へ叱責)
3遊 腹を切ってでも佐藤師団長を諌める者は居ないのか(抗命した部下を批判)
4一 陛下へのお詫びに自決したい(もちろん口先だけで天寿を全うした)
5三 私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した(インパール作戦失敗について)
6右 足もやられたら口で噛みついて行け(訓話を延々続けて栄養失調の部下は卒倒)
7捕 そんなものは病気じゃない(マラリアと下痢について)
8二 一度、教育総監をやってみたい(さすがに周囲に失笑される)
9投 貴様等のこのざまは何だ。それでも帝国陸軍か!(傷病兵に対して)

http://threebasehit.blog.fc2.com/blog-entry-567.html

まさにブラック。

でも怖いのは、牟田口廉也の行為を正当化する意見が今も少なくないということです。

根拠のない自信に基づいて作戦を続ける組織。独善的な責任者の存在に、否と言えない従業員がこの国を支える構図は今も昔も変わらないことがわかります。