本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

まず前例を疑ってみよう

人が見逃す部分を地道に掘ること

未明に降った雪はやんだものの、残雪に弱いのが首都圏の特徴です。

新聞の書評*1でジャーナリストの清野由美さんが「ぼくらの仮説が世界をつくる」という本を取り上げていました。

f:id:tanazashi:20160117142715j:plain

 

この本で著者の佐渡島さんは「情報を先に集めて仮説を立てると新しいことはできない。」と前例主義を否定しています。清野さんは、普通の人が見逃す部分をとらえ、成果が出るまで地道に努力を続けるという著者の姿勢を評価しています。

どこにでもすぐ行けて、欲しい物が簡単に手に入る時代に私たちは生きています。手間がかかり、遅いことは否定され、覚めた感覚に近い「定説」が生まれ、それ以外の考え方を圧倒します。この定説を疑ってみることが大切なのだというのです。泥臭く、汗をかきながら「仮説」という道を歩き続けるうちに世界が開かれるわけです。

着眼と継続の価値を問い直す新書と言えば、最近のベストセラー「戦略がすべて*2」があります。身の回りのことを常に「戦略的思考」で考えるように呼びかけています。「戦略で勝つ」とは、横一列の競争をせず、他とは違うアプローチを模索することなのだそうです。

「結論はすでに見えた」という常識は果たして正しいものなのか?疑ってかかる姿勢を持ちつづけることは大切のように思います。

 新書のベストセラー

f:id:tanazashi:20160117143930j:plain

紀伊國屋書店梅田本店調べの新書ベストセラー(12月28日~1月3日)

  1. 「戦略がすべて」瀧本 哲史*3著(新潮社)
  2. 「大世界史」池上 彰・佐藤 優著 (文藝春秋)
  3. 「糖質制限の真実」山田 悟*4著(幻冬舎
  4. 「本音で生きる」堀江貴文著(SBクリエィティブ)
  5. 「すごい家電」西田 宗千佳*5
    著(講談社
  6. 「朝鮮と日本に生きる」金 時鐘*6著(岩波書店
  7. 「家族という病」下重 暁子著(幻冬舎
  8. 蘇我氏の古代」吉村 武彦*7著(岩波書店
  9. 「人生を面白くする本物の教養」出口 治明*8著(幻冬舎
  10. 「ゲゲゲのゲーテ」水木 しげる著(双葉社

 

*1:朝日新聞2016年1月17日

*2:AKB48からオリンピック、就職活動、地方創生、炎上商法まで社会の諸問題を緻密に分析。日本人が取るべき選択を示唆した現在社会の「勝者の書」。

*3:2011年に「僕は君たちに武器を配りたい」で注目された京大客員准教授。

*4:北里研究所病院糖尿病センター長、腎臓・内分泌代謝内科副部長、医療連携室長

*5:1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。

*6:在日朝鮮人の詩人、朝鮮文学者。

*7:日本の歴史学者。明治大学文学部史学地理学科教授。

*8:ライフネット生命株式会社代表取締役会長兼CEO