書店員も「びっくりポン」というほど、ビジネス書部門の首位に忽然と姿を現したのがこの本です。
「大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる」井堀利宏*1 著( KADOKAWA/中経出版)
著者が東大で20年以上教えてきた「ミクロ」「マクロ」のエッセンスを、ぎゅっと1冊に凝縮! これからの時代を生き抜くために、すべての日本人に必要とされる教養としての経済学が、1日30分×20項目=10時間で学べます。
放送の仕事は煎じ詰めれば「難しい事柄を(なるべく)ひとことに要約して、わかったような気持ちにさせること」つまり池上さんのような仕事です。伝える側にいる者にとって解説書は必需品です。私は経済学のことはあまりよくわかりません。ですから読んだ人の評判を見ます。大学の4年間を10時間で学べるという、夏の自動車教習合宿みたいなタイトルが効いたのでしょうか、かなりの意見が寄せられています。そして評価は真っ二つに割れていました。
・経済学初心者はわりと前半で挫折します。
・用語の定義、説明も漠然としているため、GDPの説明すらちんぷんかんでした。
・事項の羅列を言葉で繋いだだけの感じが拭えませんでした。
さんざんな評価もあれば、
・経済学を全く知らない自分にも分かりやすい本だった。
・この一冊を軸に経済を学び直したい
という意見もあります。
「評価が二分する番組はいい番組だ」とはよく言ったものです。
基礎知識だけを何となくわかった気にさせて、全体像を疎かにするいわゆる「わかりやすい」本と違って、中身は極めて本格的。
こんな評価を聞くと耳が痛くなります。わかりやすさだけでなくその先のことを考え続ける姿勢が求められています。