「事実をして語らしめよ」とは取材に当たるものが持つモノサシです。その事実が見えにくいのが近現代史のジャンルです。象をなでるように、取材者はさまざまなモノサシを使って核心に迫って行きます。
平台に登場した辺見庸氏の「1937」。発売と同時に売れました。
「1937(イクミナ)」辺見庸 著(金曜日)ニッポンジンはなにをし、なにをしなかったのか?おどろくべき「獣性」と「慈愛」をつないだ天皇。閉じられた記憶の棺をこじあけたら、おどりでてきたものとは?歴史にわだかまる大いなる恥と責任を体内深くに問い、「1★9★3★7」から今日まで、連綿とつづく「ニッポンの妖気」を射る。戦後思想史上、最大の問題作!
この本が並んだその日。私の実家に、大戦中陸軍の憲兵だった大叔父の訃報が届きました。子どもの頃、叔父は戦時中どこで何をしたのか問いかけたことがあります。叔父は淋しそうに笑って答えませんでした。彼が口をつぐんだ理由を聞きそびれてしまいました。