「……ったく、……この、未熟者めが! 」さて、この文章は何という作品のラストでしょう?古今東西の名作137冊をラストの一文から読み解く、丸わかり文学案内。名作は〝お尻〟を知っても面白い!
歌謡曲の冒頭のフレーズを聴いて、曲目を当てるテレビ番組がありました。今週平台にお目見えした新刊本は、「冒頭ではなく着地点、締めくくりの一言から、名作を味わう」という逆転の発想が形になったものです。
「名作うしろ読み プレミアム」斎藤美奈子*1 著(中央公論新社)
「お尻がわかったくらいで興味が半減する本など、最初からたいした価値はないのである。」ということで、古今東西の名作文学の最後の一行から作品を読み解いていく。最後の一行を論ずるということは、その作品全体を批評するということ。簡略に、しかし的を射てなおかつユーモア(皮肉?)批評に頷くばかり。
わが身を振り返ると、冒頭を読んだままゴールに行き着かなかった本や、後ろから読んで失敗した気分になったミステリー本 など「しんがりの言葉」を論じると若干ほろ苦い気持ちがよみがえります。名作を最後まで読まなかった人は、この機会に再チャレンジしてはいかがでしょうか。
「マリコ、炎上」林真理子 著(文藝春秋)飽くなき好奇心と覚悟に裏打ちされた、切れ味鋭い「週刊文春」の長寿連載エッセイ第29弾。インターネット上で議論を呼んだ、川崎中一男子生徒殺害事件についてのエッセイを全文収録。
私的には生活のレベルが違いすぎるので、エッセイというより、それ自体物語と思い込むようにして連載に目を通す程度です。でも、放送局員にコアな客層がいるようです。