放送局員にとって話し言葉は商売道具です。
したがって、商売道具はいつも正しく使えるようにメンテナンスするひつようがあります。でも言葉は生き物で、ちょっと目を離した隙に違う読み方や違う使われ方をすることがよくあります。さらに悪いことに、私たちは日本語ができて当たり前と思ってしまいがちなので、油断するとたいへんなことになります。日本語の学習も続けることが大切です。
入社式にあわせたのでしょうか、店頭にはことばと漢字の本が山積みになっています。特に「ことばのハンドブック」はアナウンサーだけでなく、記者やリポーターなどマイクに向かって話す仕事に欠かせないガイドなので、入荷数も桁が違います。
50音順に配列した使いやすい用語集。より充実した外来語・外国語のカナ表記。例示を大幅に拡張した数詞の読み方。一般に広く使われているものを基準とした助数詞の用例集。放送のことばの基本などを解説したコラムも掲載。
ページをめくると、いつも辞書で見るような五十音順ではありません。
少しだけ例を挙げておきます。
○は正しい,×は間違い,
①②となっているものは,両方正しいですが①の読みが優先します。他人事:○ヒトゴト,×タニンゴト
秋田犬:①アキタイヌ,②アキタケン
後腐れ:①アトクサレ,②アトグサレあす,あした,みょうにち:簡潔な「あす」を使う
アンケート調査:この表記で間違いではないが,
「アンケート」も調査の意味があるので重複と捕らえる人がいるので注意が必要。一言一句:○イチゴンイック,×イチゲンイック
依存:①イソン,②イゾンHの発音:○エイチ,×エッチ
数字の0の発音:○レイ,×ゼロ(ただし0歳児はゼロと読む)
×続きまして,×したがいまして→続いて,したがって
完璧:否定的な事柄の強調には使わない,×完璧に間違った
間髪を入れず:○カンハツオイレズ,×カンパツ~
→「すぐさま」「たちまち」とできるだけ言いかえる。難しい漢語表現は避ける,例:ふっしょくする→ぬぐいさる
正しい日本語を話しているつもりでも、この本をめくるとそれがどれだけ間違っていたかがわかります。
日本語の基本を学び直す上でも役に立つ一冊です。
NHKことばのハンドブック第2版 [ 日本放送協会放送文化研究所 ] |