連休の谷間の金曜日です。連休明けからフェアの準備をはじめるとのことで、内容を聞くと「講談社の学術文庫フェア」なのだそうです。
ひとくちに講談社の文庫といっても様々なジャンルに分かれています。小説やエッセイなどなじみの文庫は「講談社文庫」。自然科学全般の話題を専門家ではない一般読者向けに解説・啓蒙しているシリーズが「ブルーバックス」新書です。これ以外に小説に特化した「講談社リベルズ」や、さらにライトノベルを愛好する若年層向けの「講談社ラノベ文庫」などがあります。学術文庫は文学・歴史・哲学など教養系あたりを広く照らし出す文庫シリーズで、タイトルを見ただけで「詰まっている」という感触があります。
学術というと、一般人はなかなか足を踏み入れづらい趣がありますので、版元としては敷居を低くしようという姿勢が出始めているように思います。
たとえば、サイトを見るとこんな風です。
ユーモアを感じるのが「チチカカコ」というネーミング。南米の湖ではありません。学術文庫の編集部だけでなく、同じジャンルを扱うライバル関係にある5社の編集が連携して、販促活動などを始めています。このゆるい連携を各社の頭文字をとって「チチカカコ」と言うのだそうです。
こうした連携は、先進国首脳会議のように書店にとってはありがたい試みです。なにせ、地味すぎるタイトルが多い分野なので、宣伝も難しいからです。でも「チチカカコ」なんてチャーミングなコピーがあると、フェアもなにかサマラ成るような気がします。
教養系の文庫は派手に売れる本ではありませんが、地味に長く売れ続けるところに本屋としては魅力を感じているのだそうです。今回の本屋のフェアは、学術文庫単体のフェアであるため、「チチカカコ」の助けは受けられません。
放送局で働く人たちにどうやって売り込むの?と書店員に聞くと、連休明けまでに考えますという返事です。