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エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10

経済図書の年間ベストです。 

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日本経済新聞(12月25日)

 

1「21世紀の不平等」アンソニー・B・アトキンソン 著(東洋経済新報社

ピケティの師アトキンソン、格差をあきらめない15の方法。不平等研究の権威が現代社会の根本を問い直す。思想の大転換を迫る書。

21世紀の不平等

21世紀の不平等

 

 

2「サービス立国論―成熟経済を活性化するフロンティア」森川正之*1 著(日本経済新聞出版社

サービス経済化の実態を、豊富なデータと最先端の分析に基づいて明らかにし、日本経済を再び成長軌道に乗せるための政策を提言。これまで包括的に解明されていなかったサービス産業に焦点を当てた、日本を代表する官庁エコノミストによる画期的な日本経済論。

サービス立国論―成熟経済を活性化するフロンティア
 

 

3「行動経済学の逆襲」リチャード・セイラー 著(早川書房

伝統的な経済学の大前提に真っ向から挑んだ行動経済学。そのパイオニアが、自らの研究者人生を振り返りつつ、“異端の学問”が支持を集めるようになった過程をユーモアたっぷりに描く。行動経済学は、学界の権威たちから繰り返し糾弾されながらも、どのように反撃して強くなっていったのか?これからどう発展し、世界を変えていけるのか?“ナッジ”の提唱者がすべてを書き尽くした渾身の力作。

行動経済学の逆襲

行動経済学の逆襲

 

 

4「ダグラス・ノース 制度原論」ダグラス・C・ノース 著(東洋経済新報社

人類は停滞の歴史から脱け出せるのか?経済学に絶大な影響を与えた権威、ノース教授の最後の提言。主流派経済学では捉えきれなかった経済変化の過程に迫る、画期的研究!経済変化の本質を理解する。

 

ダグラス・ノース 制度原論

ダグラス・ノース 制度原論

 

 

5「ドキュメント 銀行 金融再編の20年史─1995-2015」前田裕之 著(ディスカヴァー・トゥエンティワン

バブル崩壊不良債権、追い貸し、合併。どん底の時代に経営陣はいかに苦闘し、どう行動してきたのか?メガバンク誕生、長信銀の消滅、規制緩和その背景・功罪と、銀行のあるべき姿とは…私たちは今、どう銀行と付き合うべきか。

 

ドキュメント 銀行 金融再編の20年史─1995-2015

ドキュメント 銀行 金融再編の20年史─1995-2015

 

 

6「慢性デフレ 真因の解明」渡辺努*2 著(日本経済新聞出版社

POSをはじめミクロ・マクロのデータを駆使し、価格設定、買い物行動、為替、賃金などを分析。これまで見えなかった原因とメカニズムをあぶり出す。ビッグデータなど最新手法でマイルドデフレ長期化を検証。

慢性デフレ 真因の解明 (シリーズ現代経済研究)

慢性デフレ 真因の解明 (シリーズ現代経済研究)

 

 

7「人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長」吉川洋*3 著(中央公論新社

 人口減少が進み、働き手が減っていく日本。財政赤字は拡大の一途をたどり、地方は「消滅」の危機にある。もはや衰退は不可避ではないか―。そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」と答える。経済成長の鍵を握るのはイノベーションであり、日本が世界有数の長寿国であることこそチャンスなのだ。日本に蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」を排し、日本経済の本当の課題に迫る。

 

8「金融政策の「誤解」 ―― “壮大な実験"の成果と限界」早川英男 著(慶應義塾大学出版会)

緩和一辺倒の政策手段から、いかに脱却するか

黒田東彦日銀総裁が遂行する「異次元緩和」政策は、目標に掲げたインフレ率2%の達成・維持と経済停滞からの脱却に至らないまま、「マイナス金利」という奥の手を導入した。この先の政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!

金融政策の「誤解」 ―― “壮大な実験

金融政策の「誤解」 ―― “壮大な実験"の成果と限界

 

 

9「失業なき雇用流動化―― 成長への新たな労働市場改革」山田久*4 著(慶應義塾大学出版会)

働き方を変えれば、日本が変わる!働く人々が職場や会社を安心して自由に移動できるようになれば、経済に活力が生まれる。本書は、高い賃金保障に軸足を置いた新たな雇用のあり方や、労使政の連携による就労・再就職支援システムなど、「成長につながる」方策を提言。柔軟で多様な働き方が、閉塞する日本を救う!

失業なき雇用流動化―― 成長への新たな労働市場改革

失業なき雇用流動化―― 成長への新たな労働市場改革

 

 

10「試練と挑戦の戦後金融経済史」鈴木淑夫*5 著(岩波書店

物価安定と経済発展という時に矛盾する二つの目標の間で、金融政策は揺れ動いてきた。その揺らぎがインフレやデフレ、バブルや恐慌といった結果をまねき、私たちの生活を大きく振り回してきた。どうすれば安定した暮らしを実現できるのか―そのために日本銀行は試練と挑戦、成功と失敗を繰り返してきた。金融政策に深く関わった著者が、その歴史をたどり、未知の領域へと突入した日本経済の行く末を探る。 

試練と挑戦の戦後金融経済史

試練と挑戦の戦後金融経済史

 

 

 

*1:経済産業研究所理事・副所長。1959年生まれ。東京大学教養学部卒業。通産省(現経済産業省)入省。同省経済産業政策局調査課長、同産業構造課長、大臣官房審議官などを経て、現職。この間、埼玉大学大学院政策科学研究科および政策研究大学院大学助教授、経済産業研究所上席研究員。経済学博士(京都大学)。

*2:東京大学大学院経済学研究科教授。1982年東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務、ハーバード大学経済学Ph.D.取得。一橋大学経済研究所助教授、教授を経て2011年より現職

*3:1951年(昭和26年)6月30日- )は日本の経済学者。東京大学名誉教授、立正大学教授。専攻はマクロ経済学、日本経済論

*4:日本総研調査部部長。1987年京都大学経済学部卒業。03年法政大学大学院修士課程(経済学)修了

*5:エコノミスト、政治家。衆議院議員 (2期)を務めた。経済学博士(東京大学)。鈴木政経フォーラム代表。公益財団法人日本国際フォーラム政策委員