本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

1月の「このマンガがすごい」ランキング・オトコ編

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1「レイリ」室井大資岩明均 著(秋田書店

天正7(1579)年、甲斐国――4年前に起きた「長篠の戦い」の敗戦後、天下統一を目ざす新興勢力・織田家に対し衰退の一途をたどる武田家。その家臣団の末端にいる少女・レイリの数奇な運命を描く。

 

SFから古代史まで多才な活躍を見せる岩明渾身の原作をシュールギャグを得意としてきた鬼才が腕を振るう。いったいどんなマンガになるのか? 期待しか感じられない本格戦国時代劇の登場に喝采殺到です!

 

2「BOX~箱の中に何かいる~」諸星大二郎 著(講談社

ある日、高校2年生の光二のもとに差出人不明の小包が届いた。なかみは複雑な組木で構成される「箱根細工」の箱と「入場券」と書かれた紙片だった。箱と入場券に導かれるようにしてたどり着いたのは、奇妙な四角い建造物だった。無機質な館に集められたのは7人。そこに興味本位で来たというた謎の美女・キョウコが加わって……。

 

怪奇幻想マンガの巨匠の今回のテーマは、閉鎖空間で展開するサバイバルホラー。第1巻の時点ではゲームの主催者も、その目的さえも見当がつかず……次巻が気になります!

BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニング KC)

BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニング KC)

 

 

3「空挺ドラゴンズ」桑原太矩*1 著(講談社

空飛ぶドラゴンを追って世界じゅうを西へ東へ。巨額の賞金を得るだけでなく、その肉も食べることができるという死ととなりあわせのドラゴン狩りに魅せられた男たちの駆る捕龍船「クィン・ザザ号」の大冒険を描く。

 

ファンタジー&グルメという現在のマンガ界のトレンドにのって始まった新作。ドラゴンを食べるとはいったい!?

空挺ドラゴンズ(1) (アフタヌーンコミックス)

空挺ドラゴンズ(1) (アフタヌーンコミックス)

 

 

4「波よ聞いてくれ」沙村広明 著(講談社

酒場で知り合ったラジオ局員に語った失恋トークを電波に乗せられてしまったことで始まった主人公・鼓田ミナレのDJライフ。破天荒なぶっちゃけトークが売りのミナレを中心に、本巻では個性あふれる周囲の人々の人生さえもが激しく動き出す。

疾走感バツグンの第1巻がすでに7月のランキング入りもしている作品が、再びのランクイン。そのスピード感はまったく衰えていません! 

 

5「めしにしましょう」小林銅蟲 著(講談社

同じ掲載誌で連載中のサイコサスペンス作品『累』の著者・松浦だるまのチーフアシスタントがおくる、限りなくノンフィクションに近いフィクションマンガ。

グルメマンガでありながら漫画家&業界あるある(?)の嵐に連載開始から「マジか!」の声が! ちょっと“やりすぎた”料理の数々をご堪能あれ。 

 

6「悪魔のメムメムちゃん」四谷啓太郎 著(集英社

男を誘惑して魂を奪うために高校生・ひょう太のもとに現れた悪魔・メムメムは、その恐ろしい目的に反して幼児体型や押しの弱さもあって、その作戦はまったくうまくいかない。ポンコツすぎるけどかわいらしくてなんだかほっとけないメムメムちゃんに人気集中です! 

 

7「六道の悪女たち」中村勇志 著(秋田書店

気弱な高校生・六道桃助は、道で不良にであっても逃げ腰になってしまう。彼のもとに亡き祖父から謎の巻物が届いたことから、六道は悪女に好かれてしまうという不思議な能力を手に入れてしまった。パッとしない少年が女の子、しかも悪女ばかりに惚れられるというハーレムものでありながら、悪女同士のバトルも楽しめるエンタメ性もバツグンです! 

六道の悪女たち 1 (少年チャンピオン・コミックス)

六道の悪女たち 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 

 

8「結んで放して」山名沢湖 著(双葉社

かつて同人イベントでいっしょだった4人の女性のうちプロの漫画家となった千畝は、同人時代の憧れや情熱、原点にたちかえる気持ちを持ち続けていた。そんなある日、彼女は同人当時憧れていた人とひょんなことで出会ってしまう……。

同人誌の世界を舞台に、人生のターニングポイントを迎えた女性たちのせつない気持ちが胸に刺さります。

あくまでも推計に過ぎないが、現役のプロ漫画家は約1千人、同人誌やウェヴで作品をはっぴ要するアマチュア作家は数十万人ともいわれる。それだけ「マンガを描く人」がいるなかで、「書き続ける」ことの難しさと尊さを痛感させられるのが本作だ。(南信長) 

9「ベアゲルター」沙村広明 著(講談社

中国の売春街で起きた謎の殺人事件……それは、日本における某・広域暴力団内部での現金盗難事件とつながっていていた。
とある辺境の売春島にて、ちょーつえー美女が容赦なく大活躍するアクションマンガもついに第3巻。

第4位の『波よ聞いてくれ』と同時にランクインです!

 

10「げんしけん 二代目」木尾士目 著(講談社

 大学のサークル「現代視覚文化研究会現視研)」を舞台に、そこに所属する男女オタクたちのリアルな日常を描く。

大学という限定期間における世代交代と形態変化をくりかえしてきた「げんしけん」の物語も、ついに完結。オタクたちの青春群像劇が迎えるフィナーレとは!?

 

 

*1:1985年5月20日生まれ。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業。2010年アフタヌーン四季賞にて『鷹の台フリークス』で佳作、2011年同賞にて『ミミクリ』で準入選を受賞。2013年から2015年まで「good!アフタヌーン」誌上で『とっかぶ』を連載