男はつらいよの主人公・車寅次郎を演じた渥美清さんは、私生活では賭け事や酒などには手をつけないマジメ人間でした。素顔をほとんど公にしなかった渥美さんの心境をさぐる手がかりが、趣味としてたしなんでいた俳句でした。しかし、その俳句は思いも寄らないほど個性的な作品でした。
ザ・プレミアム 「寅さん、何考えていたの? ~渥美清・心の旅路~」
今も“寅さん”と慕われる渥美清が亡くなって20年。その心のうちを知る手がかりが残されている。それは風天(フーテン)の俳号で詠んだ200を越える俳句。「お遍路が一列に行く虹の中」「花道に降る春雨や音もなく」…番組では「男はつらいよ」の名場面を楽しみながら俳句に込められた心を読み解く。出演は、倍賞千恵子、浅丘ルリ子、黒柳徹子、山田洋次、早坂暁。“マドンナ”として共演した吉永小百合の語りでお届けする。
隅田川花火大会の夜に放送されたのが寅さんを忍ぶ特集番組です。寅さんこと渥美清さんはこんな個性的な俳句をつくっていました。
渥美清さんの俳号は「風天」。映画仲間に誘われて句会を訪れた渥美さんは、最初尻込みしたそぶりを見せていましたが、仲間に加わり奔放な作品を発表するようになりました。
渥美清さんを偲ぶ知人たちが推した作品が、蟹を題材にとったこの句でした。
俳句が趣味だった渥美清の作品を集め、句作に関する思い出を多くの人に聞いた一冊。全俳句と、その句を作ったころに公開された「男はつらいよ」シリーズの写真も掲載。渥美清の作なのか、「寅さん」の作なのか、読者を惑わせながら、俳号の「風天」そのままに、ノスタルジックで少しさびしい世界へといざなう名句の数々です。
赤とんぼじっとしたまま明日どうする
ただひとり風の音聞く大晦日
鍋もっておでん屋までの月明り
朝寝して寝返りうてば昼寝かな
ディレクター:正岡浩之
プロダクション:かわうそ商会