わが国では毎日200冊以上の新刊が出版されているのだそうです。
書店員が手分けしてもすべての本に目を通すことなど無理です。☆
前回、選書のよしあしが書店の個性になると書きました。
書店員はどのように新刊情報を仕入れるのでしょうか?
書店向けにこれから出る本の予定をまとめた情報誌があります。定期刊行物にもかかわらず店頭で一般の読者の目に触れることはあまりありません。
それは、取次が出版する情報誌です。
上の写真はトーハンの「トーハン情報」。頒価価格が267円(税別)とあります。
ちなみに日販は「日販速報」を出しています。書店に頼めば定期購読できそうです
ページをめくると電話帳のように出版予定が一覧に鳴っています。単行本やコミックスなど6つのジャンルに分類された「週間ベストセラー」も充実しています。「新刊案内」は書店員にとって手書き広告など作るとき便利そうです。
1月の週報はテレビ番組の改編期に重なったこともあり、テレビ番組の情報も特集されていました。最近はコミックスを原作としたアニメも多いので、かなり詳しい情報が掲載されています。
週報は書店員が選書の参考にするため役に立っていると聞いたので、「本当に役に立つのですか?」と書店員に聞いてみました。
「出版社の営業からFAXや新刊案内が届きます。ネットも含めてチェックすれば本当にすぐ欲しい情報は手に入るので、情報誌はたまに目を通す程度です」という返事が帰ってきました。
書店から見ると取次から配達されてくる配本はいわば基本セットのようなものです。欲しい本も入っていますが、必要な数が届けられるわけではありません。客層に合わない分野の本が届けられることもあります。
書店員は配本された本を確認し、注文数に満たない部数や、配本にない本の補充に力を入れることになります。ですから、総合案内の色彩が強い週報だけでは物足らず、出版社からピンポイントに書店に届けられる「新刊案内」の方が使いやすいのだそうです。
放送局の書店では客層も絞られています。ですから「放送」などの文字に注意しながら出版案内に目を通すことになります。
最近、書店員を悩ませているのがテレビドラマの原作探しです。
出版と番組が連携して宣伝を展開するような形は楽ですが、すべてがそのようなものではありません。
テレビドラマの原作の中には、古典などすでに出回っている本から採られている場合もあります。古典に「あのドラマの原作です」という宣伝がついていることはありません。
よくよく探せばあの本が原作だった。でも原作本に「テレビの原作です」と断り書きがない本は、書店員が自力で探しすことになります。テレビガイドや週刊誌などで番組のタイトルをもとに本を探すことも多いと聞きました。
日中は書店の仕事に追われているため、休みの日や帰宅後の空いた時間が勝負。本が好きでないとつとまらない仕事かもしれません。