本日登場した本。番組制作者の必読書として長く売れそうな気がします。
「第2版 よくわかるテレビ番組制作の法律相談」梅田康宏*1、中川達也*2著(日本加除出版)
好評を博した旧版を、8年ぶりに大改訂!
NHKと民放の弁護士がわかりやすく解説
SNSに投稿された文や写真などを番組で紹介するには、本人の承諾が必要?
ビッグデータを取得して報道に役立てたいが何か問題はある?
放送した番組について、BPOが審理に入ったら、どのような対応が必要?
放送局側から見るとコンプライアンス意識の高まりがあります。一般社会から見ると個人の権利意識も高まっていることから、テレビ番組の制作や放送の現場では取材や放送、権利処理など様々な視点から法律的に問題がないかどうか気を配る必要が生まれています。
制作者のすべてが法律に熟知しているわけではないため、こうしたガイドブックは貴重です。例えば、雑踏をロケした場合に一般の方が通行人として映り込んでしまった。よくある事例ですが、偶然テレビで放送されてしまうと、その人に不利益になることがあります。だからといってすべての顔にモザイクをかければいいというものでもありません。ロケの現場がどこか分からなくなってしまったり、モザイクに注意が集まることから伝えたいことが伝えられないことにもつながりかねません。どこからが権利侵害になるか、肖像権をどう理解するか、放送倫理上の問題点を明らかにすることにより、視聴者にとって有益な情報をすばやく正確に伝えることができるからです。
第二版が発行された背景には、放送と通信を取り巻く環境の急速な変化があげられます。SNSで発信される投稿素材を放送で使ったり、報道対象の企業のホームページを使いたいといった新しい需要が続々生まれています。番組プロデューサーにとどまらず、最前線でテレビづくりに携わるディレクターやADにとっても法の知識は欠かせません。放送局員に求められる常識は広がり続けているといえそうです。