隣の芝生は黒い。と思わず感じる本。
【5章「決断/覚悟」】
あらゆるビジネスにはリスクが付きものだ。
我々が週刊文春を作る上で、いかにリスクと向き合いながら決断を下し、
どんな覚悟で記事を掲載しているのかを述べた。
文春流の紙面作りの本質は好奇心につきるようです。誰もが考えていることの裏を行くのがヒットの秘密のようです。「誰それが右といえば右を向く」のではなく、「左を向いたらどうなるのだろう」と考えるのだそうです。つまり天の邪鬼です。9割の人が右を向いた時、左側から宝物が見つかったらボロ儲けです。当然、失敗したり非難中傷を浴びたりすることも出てきますが、それは織り込み済み。先行者利益を取りに行くのがこの雑誌の編集方針であることがわかります。「市場調査」の結果をもとにモノを売るなんて発想はもともとないのですから、それだけで個性的です。したがって固定客が付く。その固定客が喜ぶようなターゲットに持てる資源をつぎ込んで一攫千金を狙うという仕組みです。
当然、取材してみたらなにも出てこなかったということもあるわけで、ひどい目にあうことだってあります。ですから5章の書きぶりがすごく気になります。
昨今はブラックな体質を抱えた企業の人気がありません。太く短く生きる仕事を若い人たちはどう見るのでしょうか。それも気になります。