本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

百円の男 ダイソー矢野博丈

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「百円の男 ダイソー矢野博丈」大下英治 著(さくら舎)

「これが100円か! 」で日本人に衝撃を与えた100均のダイソー(1977年12月設立)。
創業者・矢野博丈は学生時代から七転八起! いくつかの事業を失敗して、スーパー
などの店先で棚板に商品を並べて「100円均一」で売ったところ大当たり。一日で
100万円を売り、スーパー店長が仰天。その成功の秘密は利益一円でも売ることに
あった。先行するライバルは100円の粗悪品、ダイソーは「100円の高級品」。利益
一円でも売る商法である。この差が消費者の心をつかんだ。

常設店舗一号はダイエーの隣。その後も色々とあったが、月に68店舗を出店した時期も
あった。現在は国内外に4,700店舗。しかも、商品の99パーセントが自社開発商品である。
本書では、あまりマスコミに出ない矢野社長を、同郷のジャーナリスト大下英治氏が
徹底取材。前例のない「100円商法」の波瀾万丈・型破りの経営を描く!

よく売れる本のジャンルの一つに評伝ものがあります。

テレビ関係者から「番組づくりのセオリーは人間に密着することだ」とよく聞きます。番組企画のネタ探しのため、評伝ものを読み込む制作者は少なくありません。

最大の理由は、人間は誰しも他人の生き方に興味を持つからだそうです。物ごとや知識はネットを調べればある程度手に入れることはできますが、他人の生き方は本人から直接聞き出さないことには手に入れることはできません。

また、取材対象となった人物のドラマを、テレビ制作者が活字からあらかじめ知ることができるのも評伝の魅力です。活字メディア同士だとパクリと呼ばれるようなことでも、テレビと活字はメディアが違うのであまり問題になりません。活字では人物の声色やクセ、性格などといった人物の持つ肌触りや”時間の経過"という情報を伝えることも苦手だからです。

ネタやドラマの発掘に加え、取材交渉の作業もネタ本があると楽です。

人生のピンチを逆転して成功を掴んだ番組がありましたが、本書などは企画のネタとして役に立つのではないでしょうか。

 

百円の男 ダイソー矢野博丈

百円の男 ダイソー矢野博丈