本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

虹色のチョーク

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「虹色のチョーク」小松成美 著(幻冬舎

神奈川県川崎市にあるチョーク製造会社・日本理化学工業株式会社は、昭和12年に小さな町工場からスタートした。昭和35年に二人の少女を雇い入れたことをきっかけに、障がい者雇用に力を注ぎ、「日本でいちばん大切にしたい会社」として全国から注目を集め続けている。
現在も社員83名のうち、62名が知的障がい者。一人一人の能力に合った仕事を作ることで、彼らが製造ラインの主戦力となり、社員のほとんどは定年まで勤め上げる。同時に、彼らの作るダストレスチョークは業界シェア1位を誇る。
今でこそ福祉と経営の両面で注目を浴びるが、ここに辿り着くまでには数々の苦悩と葛藤があった――。
本書は、日本理化学工業の会長や社長、働く社員、さらには、普段語られることの少ない障がい者のご家族へのインタビューを通して、「働く幸せ」を伝える一冊。

人は働き、役に立つことによって幸せになれる

日本テレビ24時間テレビ 愛は地球を救う」「林修が日本一のチョーク工場へ 社員7割が知的障がい者」で紹介されたことから再び脚光を集めています。本書の出版は今年5月。テレビ番組の制作スパンはおよそ2ヶ月なので、本を手に取った企画者が素材に惚れ込んだものと推測されます。

この会社が「障がい者雇用」を積極的に行うことになったきっかけは、
禅寺の導師に言われた言葉がきっかけだったようです。

人間の究極の幸せは
1つは愛されること
2つ目はほめられること
3つ目は人の役に立つこと
4つ目は人に必要とされること

会社はそれ以来障がい者の雇用に力を入れ、

2009年には社会に大きく貢献した企業に贈られる「渋沢栄一賞」を受賞します。

おそらく筆者は賞の背景を掘り下げる内に本書をまとめるだけの事実を掘り起こしたのでしょう。

若い制作者のみなさんに手に取って貰いたい本の一つです。