職業本来の持つイメージがどこかで掛け違うと、後戻りするのが難しくなります。
もはや日本独自の風俗となったのがメイドという職業です。
「ご主人様」と傅かれる男性を横目に、女性たちを虜にしたのが同じ英国の執事たちです。これが当たり前の日常になると、本家本元のメイドや執事とはいったい誰なのか頭のなかから消えてしまうからです。
彼らはいったい誰なのか。一次資料にあたりながら本家本元のメイドと執事の実像に迫った本。
百年前の英国における、働く女子の最大多数派「メイド」たちの素顔に迫る。絵画・挿絵・広告・絵葉書、そしてプライベート写真…。英国メイドの日常を描いた貴重な図版をぎっしり300点以上収録。
「図説 英国執事 貴族をささえる執事の素顔」村上リコ 著(河出書房新社)
みんなの心に、なんとなくのイメージはあるけれど、実態の見えてこない「英国執事」。何を思い、どんな仕事をしていたの?何時に起きて、給料はいくら?出世の道は?恋や結婚は?御主人様や奥方様とのあやうい関係?ときには犯罪に走ることも!?―。
著者の村上リコさん*1は、フリーライター、翻訳家です。コミックの副読本やファンブックの編集を手がける中から英国文化の専門家になりました。ドラマ作りには時代考証の専門家が欠かせませんが、英国貴族周辺の考証ごとが発生したら強い味方になってくれそうな存在です。