朝日新聞(2017.12.10)の読書欄の特集は行動経済学の本です。
行動経済学の研究者・大阪大学教授の大竹文雄さんはこう言います。
「わかっているのにやめられないという人間の行動を経済学にきちんと取り入れることに成功したのが行動経済学です」
行動経済学で大正とする人間は、従来研究のモデルとなっていた人格のない人間ではありません。欲望を持つ現実的な人間像なのです。
その人間像とは「損得勘定を持っていて、損することを極端に嫌う」「将来のことより目先の利益に敏感」「不平等が大嫌いのくせに、隣の芝生が気になる」存在です。
行動経済学をうまく使うと私たちの生活はもっと豊かになります。ものごとを選択するための文章やデザインを変えただけで、望ましい方向を選ぶことができるからです。
ところが、その半面悪用されると大変です。不合理な存在を経済の面から探求する。経済学は無味乾燥な数字の学問から、血の通った学問へと変貌を遂げつつあるようです。
行動経済学の逆襲
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い? 30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか? はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える。
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ダニエル・カーネマン 早川書房 2014-06-20
ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)私たちは日々どのように意思決定を行っているのだろうか? カーネマンによると、直感的で感情に根ざす「速い思考」と合理的で努力を要する「遅い思考」の相互作用だという。二つの思考の特徴を徹底解明し、人はいかに錯覚に陥りやすく不合理な決定を行うかを浮彫りにする。プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人生観、世界観を一変させる21世紀の新たな古典。解説/友野典男
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ダニエル・カーネマン 早川書房 2014-06-20