本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

2017-12-24から1日間の記事一覧

立野純二が選ぶ2017今年の

アメリカ社会では、彼らは「ヒルビリー(田舎者)」「レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)」「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」と呼ばれている。 無名の31歳の弁護士が書いた回想録が、2016年6月以降、アメリカで売れ続けている。著者は、 「ラス…

市田隆が選ぶ2017今年の三冊

名誉と恍惚ふるさとなんかどこにもないが、生きてやる。おれの名誉と恍惚はそこにある。日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇の頭目・蕭炎彬との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に…

横尾忠則が選ぶ2017今年の三冊

デヴィッド・ボウイ インタヴューズ1969年から2003年までのインタビュー記事から厳選した珠玉の32本をノーカットで一挙掲載!ボウイが語る、ボウイのリアル。 posted with ヨメレバ ショーン イーガン シンコーミュージック 2016-12-17 Amazonで購入 Kindleで…

山室恭子が選ぶ2017今年の三冊

セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか 「生体を維持するべく体内で様々な種類の分子や細胞の数を調節する分子レベルのルールが存在するのと同様に、一定の区域における動植物の種や個体数を調節するルールがある」――タンザニアのセレンゲティ国立…

諸岡徹が選ぶ2017今年の三冊

最後の資本主義 中間層の消滅を警告し続けた経済学者、米国の良心、絶望と希望を語る。「トランプ誕生!」の深層。 posted with ヨメレバ ロバート・B. ライシュ 東洋経済新報社 2016-12-02 Amazonで購入 Kindleで購入 楽天ブックスで購入 楽天koboで購入 7ne…

野矢茂樹が選ぶ2017今年の三冊

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく) 自傷患者は言った「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」。依存症当事者はため息をついた「世間の人とは喋っている言葉が違うのよね」――当事者の切実な思いはなぜうまく…

末國善己が選ぶ2017今年の三冊

夢をのみ―日本SFの金字塔・光瀬龍代表作『百億の昼と千億の夜』でSF界に異彩を放った光瀬龍。鬼籍に入った今も多くのファンを魅了してやまない。光瀬を師と仰ぐ著者は、激愛と人生に悩み、思索の森を巡り歩いた作者の姿に感動!夫人との800通に及ぶ往復書簡、…

サンキュータツオが選ぶ2017今年の三冊

蔵書一代―なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか やむをえない事情から3万冊超の蔵書を手放した著者。自らの半身をもぎとられたような痛恨の蔵書処分を契機に、「蔵書とは何か」という命題に改めて取り組んだ。近代日本の出版史・読書文化を振り返りながら、「…

椹木野衣が選ぶ2017今年の三冊

認知症でも働ける 丹野智文さんが編み出した“ノート2冊の仕事術" 認知症当事者が、当事者のために本を書いた。 丹野さんは総務人事グループに移り、社員の退職金を計算する業務等に携わるようになる。 刮目すべきは独自に編み出した「丹野式仕事術」だ。 ま…

佐倉統が選ぶ2017今年の三冊

All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて 「人生で大切なことは、何を手に入れるかじゃない。何を捨てるかということだ」 作品と言葉で紡ぐ、ソール・ライターの人生哲学と美意識 初期のストリートフォトから広告写真、プライベートヌード、ペインデ…

佐伯一麦が選ぶ2017今年の三冊

カストロの尻 甘美で魅惑的な11の物語。作家デビュー50年記念作品となる著者最高傑作。「小説家の「幸福」」をめぐる考察、 デイジーの刺繡をしたブラウス、岡上淑子によるフォト・コラージュ作品、謎めいた宿命の女、胡同に咲き乱れるジャスミンの香り、金…

宮田珠己が選ぶ2017今年の三冊

動物奇譚集1 (西洋古典叢書 G 99) 前2~3世紀、主にローマを拠点としながら、古典ギリシア語を用いて著述活動に専念した人物による本書は、獣・魚・鳥はもとより、爬虫類・両生類から虫・植物、果ては未確認動物に至るまで、ありとあらゆる生物にまつわるきわ…

細野晴臣が選ぶ2017今年の三冊

ザップル・レコード興亡記: 伝説のビートルズ・レーベルの真実 ポール・マッカートニーの盟友にして、伝説のレコード会社ザップル運営者である著者が半世紀の封印を解き、ついにその内実を語る。 posted with ヨメレバ バリー マイルズ 河出書房新社 2017-02…

保阪正康が選ぶ2017今年の三冊

昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実 本書は国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ二十年余の歴史に再検証を試みたものである。昭和が平成に変わる直前の二十年余という歳月は、薩長の下級武士たちが決起、さまざまな歴史上の人物を巻き込んで徳川幕藩体制…

原武史が選ぶ2017今年の三冊

福島尚鉄道画集 ~線路は続くよ~ 鉄道マニアも唸る緻密さ! 美しさ ! 鉄道で世界とつながった自閉症の画家、初の作品集。NHK「いっと6けん」やTBSテレビ「Nスタ! 」、各新聞、ネットで紹介され、話題になった福島尚さんの代表作・約60点を収録。 福島尚さんは…

蜂飼耳が選ぶ2017今年の三冊

メシュガー シンガー最晩年の到達点―ヒトラーの恐怖を生き延びて、それぞれニューヨークに辿り着いたユダヤ難民たち。常に死を意識しながらも新たな生を模索する彼らだが、作家アーロンは、その中の一人の女性ミリアムに強く惹かれていく。やがて彼女の“暗黒…

斎藤美奈子が選ぶ2017今年の三冊

守教 上 初めてだった。これほどに、自分を認めてくれる教えは。だから、信じることに決めた。百姓たちは、苦しい日々を生き抜くためにキリシタンになった。なにかが変わるかもしれないという、かすかな希望。手作りのロザリオ。村を訪れた宣教師のミサ。と…

齋藤純一が選ぶ2017今年の三冊

偽装の被爆国――核を捨てられない日本 日本は、戦後70年間にわたり「唯一の被爆国」としてのアイデンティティを形成してきたはず、だった。しかしいま「核なき世界」を掲げたオバマの政策に抗い、軍事転用可能なプルトニウムを大量に積み上げ、核禁止条約には…

柄谷行人が選ぶ2017今年の三冊

宣教師ザビエルと被差別民 (筑摩選書) 宗教改革、大航海時代という世界史の転換期、日本はその影響をどう受けたのか?バスク生まれのザビエルは、カトリック改革派として、アジア底辺層への布教に乗り出す。その活動は日本にも及ぶ。ザビエルら宣教師たちは、…

加藤出が選ぶ2017今年の三冊

サザビーズで朝食を─競売人が明かす美とお金の物語 シャガール、ミロは、ブルーが多いほど高額に?ゴッホは自殺したからこそ、価値が高まった?アーティストの“狂気”は市場に影響を及ぼす?サザビーズのディレクターが、長年の経験をもとに作品の様式からオーク…

円城塔が選ぶ2017今年の三点

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 小説投稿サイト「カクヨム」にて空前の人気を誇る、空想ゲームレビュー小説が書籍となって登場。レビューによって描かれる“未来の世界のレトロゲーム”の追体験が、読者をまだ見ぬ懐かしい世界へと誘う。「カクヨム」…