「漫画の仕事」 木村俊介 著(幻冬舎コミックス)
海野つなみは「ひねる」、いくえみ綾は「練る」、冬目景は「何度も消す」、そして、荒川弘は「ネタを回す」―彼女たちが語る“手の痕跡”。“漫画”と読者を繋ぎ続ける「見えない糸」の正体を探る、創作読本。
著名人の人となりや、ものの見方、人生観などを聞き出すのがインタビューです。
読者が知りたいのは、著名人の肉声や体験談であり彼らの人そのものです。
聞き手の人柄などに読者は関心ありません。
黒子であるべき聞き手は、新しい情報さえ引き出してくれればいいのです。
ところが聞き手の存在が、話の質そのものを変えてしまう異質のインタビューもあります。
例えば若き日の沢木耕太郎さんの著作です。
沢木さんのノンフィクションを初めて読んだとき
インタビューする側とされる側の個性のぶつかりあいに驚かされました。
思いもよらない話題が飛び出し深まって行くさまは、
熟達したジャズプレイヤー同士が奏でるセッションのように感じたのです。
本書の著者である木村俊介の肩書きはインタビュアー。
著名人の話を聞き出す形を取りながらも、
聞き手の存在感が、インタビューの中身を大きく変え、
それまで見えなかった世界に読者を引きずり込んで行きます。