「かわるに、かあらん 高知県地方創生プロジェクトにかけた男たち」東京ウォーカー編集部、東 園子 著(KADOKAWA)
働き盛りの年齢層の流失が続く地方にとって、地域活性化は最優先で取り組まざるを得ない課題です。
しかし、人やモノ、金といった経営資源が絶対的に足りない地域の事情。
これまでの常識や人間関係にとらわれ、どうしても飛び抜けた発想は出てこないのも事実です。
そんな閉塞感を突き破るきっかけを作るのが、都会から地域にやってきた人たちの役回りです。
地域が長年培ってきた伝統や技術を見極めながら、地域が持ち合わせていなかった発想を掛け合わすことで新しいものを生み出すというプロデューサー的な役割といえます。
エネルギーが掛け合わされることで成功する場合もありますが、また逆に問題が起きることもあります。それは、地域が望んでいることの意味をはき違え、成果が一人歩きすることです。
「東京から人がやってきて、散々食い散らして帰って行った」という批判は、外部パワーによる弊害を物語ります。
都会の感覚で地域の活性化に取り組むのですから、当然地域は期待を持つ反面不満も持つのです。
つかず離れず、やって見せてやらせてみせるといった、黒子のような地味な役回りに徹することがプロジェクト成功の秘訣であることを感じます。