本屋は燃えているか

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#ながしまひろみ「やさしく、つよく、おもしろく。」

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「やさしく、つよく、おもしろく。」ながしまひろみ 著(株式会社ほぼ日)

糸井重里さん流*1のネーミングは読み手をハッとさせる力があります。それも大声で驚かせるのではなく、おやっと思って振り向く時のような味わいを込めて。

タイトルの中に三つの言葉があります。たいていの人は、先の二つを読んで連想するのが"たくましく"だと思います。違うと言う人がいるかもしれませんが、私の場合はそうでした。

そのたくましくの位置におもしろくを配置することで、タイトルには四つの意味が入ることになります。

出版する側は「いや三つです」と言うかもしれません。

しかし、読者は四つめの言葉を勝手に想像してしまうのです。

名作と呼ばれる名画は全てを語らないと言われます。

フェルメールの絵がいい例です。フェルメールの絵の中には物語を連想させる小道具がいっぱい仕込まれています。来日中の「手紙を書く女」などは三十くらいの解釈が可能なのだそうです。読者が勝手に答えを想像する絵です。

想像することで読者は読者自身と対話し、新たな自分を発見するのです。

ほぼ日のコンテンツ群は、ユーザーの自由を尊重します。読者の年齢、性別、趣味嗜好を分析して、これだと思うものを押し付けてくるようなやり方はしません。

読者のその時の気分に寄り添い、語りかけ、あるいは語りかけた言葉にうなづく相棒のような存在。そんな空気のような温かみを感じる本です。

 

*1:流としたのは糸井さんが関わっていないかもしれないから