本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10

文庫部門のランキングです。 

f:id:tanazashi:20160214112053j:plain

京都アバンティブックセンター京都店調べ(5月30日~6月5日)

食品の安全は古くて新しい問題です。食を提供する側はどうしても採算に縛られます。合法でさえあれば怪しげなものに手を伸ばす業者はあとをたちません。私も当時ハマチの養殖が盛んに行われ始めた漁村に取材に行ったことがあります。養殖魚の餌に規制がかかる前の話です。養殖業者たちは冷凍イワシのすり身に緑色の抗生物質ふりかけてハマチに給餌していたことを思い出します。海が緑色に染まるリポートを放送したところ、取材したディレクターは漁村からしばらく取材拒否にあいました。

今ではそのようなことはなくなったようですが、知られたくないことは伝えないという姿勢が、食を提供する側の胸の中にあることを忘れてはならないと思います。

【追記】垂水市のカンパチの養殖を取材した民放のバラエティ番組(2016年7月30日)を見ていたら、麻酔をかけた稚魚の腹部にオレンジ色をした「ワクチン」を注射する様子が取材されていました。これなら昔のように食べ残した抗生物質が環境を汚染する心配はありません。出荷する頃には注射された薬液の効果も抜けるのだろうと感心しました。人為的な健康管理によって私たちの食生活が成り立っていることには変わりありません。

6位の「行ってはいけない外食: 飲食店の「裏側」を見抜く! 」はややセンセーショナルな書きようで気をつけて読まなくてはなりませんが、精米改良剤入りご飯は「洗剤を食べているようなもの」!?という記事にはちょっとびっくりしました。

精米改良材とはいったい何なのでしょうか? 

tanazashi.hatenablog.com 

厚労省が「食品添加物を使用した精米を原材料として使用した米飯、おにぎり等を販売する場合」と具体的に言及しているということの重みを踏まえ、報道機関は事実関係をしっかり伝えて欲しいと思います。

 

1「64(ロクヨン) 下」横山秀夫 著(文藝春秋

昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。

2「世界から猫が消えたなら川村元気 著(小学館

ある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計…僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。二〇一三年本屋大賞ノミネートの感動作が、待望の文庫化!

3「この闇と光」服部まゆみ 著(KADOKAWA / 角川書店

森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!

この闇と光改版 [ 服部まゆみ ]
価格:604円(税込、送料無料)


 

4「ランクA病院の愉悦」海堂尊 著(新潮社)

とんでもない医療格差が出現した近未来の日本。売れない作家の終田千粒は「ランクC病院」で銀行のATMに似たロボットの診察しか受けられない。そんな彼に「ランクA病院」潜入取材の注文が舞い込む表題作。“日本一の健康優良児”を目指す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇「健康増進モデル事業」など、奇抜な着想で医療の未来を映し出す傑作短篇集。

ランクA病院の愉悦 [ 海堂尊 ]
価格:529円(税込、送料無料)


 

5「植物図鑑」有川浩 著(幻冬舎

お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。咬みません。躾のできたよい子です―。思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクだった。樹という名前しか知らされぬまま、週末ごとにご近所で「狩り」する風変わりな同居生活が始まった。とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説。レシピ付き。

6「行ってはいけない外食: 飲食店の「裏側」を見抜く! 」南清貴 著(三笠書房

ファストフードやコンビニの弁当類を含む外食産業で提供される「食」は、「身体に悪い物」で充ち満ちている。その中で、いかに「身体に悪い物」を避けて通るか?そのためのヒントとなる情報を盛り込んだ、「外食が多い人」「外食好きな人」必携の安全ガイド!

行ってはいけない外食 [ 南清貴 ]
価格:680円(税込、送料無料)


 

7「64(ロクヨン) 上」横山秀夫 著(文藝春秋

昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。

8「夢幻花」東野圭吾 著(PHP研究所

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

9「死の舞い: 新・古着屋総兵衛 第十二巻」佐伯泰英 著(新潮社)

長崎伊王島沖合に二百年も前のガリオン船が現れ、仮面をつけた戦士たちが怪しく舞う―。江戸では一番番頭信一郎とおりんの祝言に合わせ新居普請が順調に進む中、五回目の古着大市の準備が佳境を迎えていた。そんな折、大黒屋前に不審な短艇が三艘留まり、哀しげな調べに乗って「死の舞い」が始まった。十代目総兵衛就任以来、最大級の謎と危機。巻を措く能わざる衝撃の第十二巻。


 

10「無私の日本人」磯田道史 著(文藝春秋

 貧しい宿場町の行く末を心底から憂う商人・穀田屋十三郎が同志と出会い、心願成就のためには自らの破産も一家離散も辞さない決意を固めた時、奇跡への道は開かれた―無名の、ふつうの江戸人に宿っていた深い哲学と、中根東里、大田垣蓮月ら三人の生きざまを通して「日本人の幸福」を発見した感動の傑作評伝。