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週間ベスト10

新書部門のランキングです。f:id:tanazashi:20160213134650p:plain

丸善丸の内本店調べ、新書部門週間ベスト10(2月11日~2月17日)

 

  1. 「ハーバードでいちばん人気の国・日本」佐藤智恵*1 著(PHP研究所)日本になぜ、ハーバードは学ぶのか? ハーバード大学経営大学院の教授20人を直撃取材、その秘密を徹底的に聞き出した。 
  2. 「シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧」エマニュエル・トッド*2 著(文藝春秋)「私はシャルリ」デモ。「表現の自由」を掲げたこのデモは、実は自己欺瞞的で無自覚に排外主義的であった。宗教の衰退と格差拡大によって高まる排外主義がヨーロッパを内側から破壊しつつあることに警鐘を鳴らす。
  3. 「京都ぎらい」井上章一 著(朝日新聞出版)あなたが旅情を覚える古都のたたずまいに、じっと目を凝らせば…。気づいていながら誰もあえて書こうとしなかった数々の事実によって、京都人のおそろしい一面が鮮やかに浮かんでくるにちがいない。洛外に生まれ育った著者だから表現しうる京都の街によどむ底知れぬ沼気(しょうき)。洛中千年の「花」「毒」を見定める新・京都論である。
  4. 「戦略がすべて」瀧本哲史*3 著(新潮社)どの世界にも各々の「ルール」と成功の「方程式」が存在する。ムダな努力を重ねる前に、「戦略」を手に入れて世界を支配する側に立て。
  5. 「撤退戦の研究」 半藤一利 著(青春出版社)戦後70年の今、あえて問い直す──日本人はあの戦争に「何を」置き忘れてしまったのか!情報を軽視し、成功体験を追いかけ、撤退のタイミングを見誤る…繰り返される失敗の本質を浮かび上がらせ、21世紀を生きる私たちに大いなる示唆を投げかける渾身の対談書。同名の名著に新たに加筆の上、リニューアル復刊!
  6.  「人生を面白くする 本物の教養」出口治明*4 著(幻冬舎)。六十歳にして戦後初の独立系生保を開業した起業家であり、ビジネス界きっての教養人でもある著者が、読書・人との出会い・旅・語学・情報収集・思考法等々、知的生産の方法のすべてを明かす!
  7. コーポレートガバナンス・コード」堀江貞之*5 著(日本経済新聞出版社)2015年6月に日本の全上場企業に対して適用が始まったコーポレートガバナンス・コードについて、企業がどう取り組むべきか解説します。マニュアルに沿った対応ではなく、いかにして実効性を持たせるか、具体的に説明します。報告書作成など直接の担当者はもちろん、経営・法務・財務など関連業務の担当で、ツボを押さえておきたいビジネスパーソンにも最適の入門書です。
  8. 中東複合危機から第三次世界大戦へ」山内昌之 著(PHP研究所「IS」による世界各地でのテロなど、危機が続いている。実際はいま、何が起きているのか。そして、これから何が起こるのか―。あまりにも錯綜した状況を、歴史や地政学をひもときながらも読み解き、今後訪れる「日本人の想像を絶する危機」を洞察する。
  9. 「資本主義の終焉、その先の世界*6」水野和夫 榊原英資 著(星雲社)低金利が長期にわたって続く「利子率革命」が先進国の大半で進行し、各国の中間層は破壊され、国民国家は「資本国家」に変貌するに至っている。はたして、終局を迎えた資本主義の先には、どのような世界が待っているのだろうか。ポストモダンの新潮流を読み解く。
  10. 「ビジネス英語ライティング・ルールズ」森田修、マルコム・ヘンドリックス 著(日本経済新聞出版社)■正式なのはどっち?女子校 a girl's school / a girls' school書くときの「あれ、どうだっけ?」を解決する文法・語法・句読法の手軽なリファレンスです。

 

 

出口治明氏の経歴(wiki)を見ると、三重県津市生とあり親しみを感じます。神宮を抱える伊勢は保守的な風土かというとさもあらず、伊勢参りに見られるように人の流れを受け止める懐の深さがあります。商人で知られる松阪も近く考え方は合理的です。「物事を判断するときに、タテヨコ、つまり、昔(歴史)はどうだったか世界はどうかということをまず見る。タテで見れば、日本の伝統は平安時代を見れば明らかなように夫婦別姓。ヨコに見れば、法律婚で夫婦同一の姓とすることを強制している先進国は日本のみ。導入しない理由がなく、どうして夫婦別姓法案を通すことが簡単にできないのかとても不思議。」と述べているのがおもしろい。

 

 

 

 

 

*1:兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒、NHK入局。番組ディレクターとして、「NHKニュース」「クローズアップ現代NHKスペシャル「ドキュメント太平洋戦争 第6集」などを制作。 2003年3月 留学体験を記した著書『ゼロからのMBA』を新潮社から発表。 2012年 文筆家・プロデューサー・コンサルタントとして独立。2004年よりコロンビア大学経営大学院の入学面接官も担当。

*2:フランスの人口学・歴史学・家族人類学者である。人口統計による定量化と家族構造に基づく斬新な分析で知られる。現在、フランス国立人口学研究所 に所属する。2002年の『帝国以後』は世界的なベストセラーとなった。

*3:エンジェル投資家、経営コンサルタント京都大学産官学連携本部イノベーションマネジメントサイエンス研究部門客員准教授、株式会社オトバンク取締役。

*4:1948年生。ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEO。

*5:野村総合研究所金融ITイノベーション研究部上席研究員1981年、野村総合研究所に入社

*6:「資本主義の終焉と歴史の危機」は2014年刊。その続編ともいえる本です。