文学・ノンフィクション部門のランキングです。
三省堂神保町本店調べ(2月27日~3月5日)
- 1「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編」村上春樹 著(新潮社)
- 2「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」村上春樹 著(新潮社)
- 3「うつヌケ」 田中圭一 著(KADOKAWA)
- 4「さよならの力 大人の流儀7」伊集院 静 著(講談社)
- 5「弘兼流 60歳からの手ぶら人生」弘兼憲史 著(海竜社)
- 6「i(アイ)」西加奈子 著(ポプラ社)
- 7「音の糸」堀江敏幸*1 著(小学館)
- 8「蜜蜂と遠雷」恩田陸 著(幻冬舎)
- 9「九十歳。何がめでたい」を身につける」佐藤愛子 著(小学館)
- 10「コンビニ人間」村田 沙耶香 著(文藝春秋)
1「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編」村上春樹 著(新潮社)
100冊以上の「騎士団長殺し」が店頭に並び、「小田原のご当地小説」というコピーを掲示してセールスに力を入れるのが小田原駅の三省堂書店です。発売当日には約50冊を売りあげました。主人公の「私」家は小田原厚木道路から山中に入った所にあって相模湾を展望できるとされることから、観光で訪れた「村上主義者」の読者にも注目してもらえるのではと、ブームの盛り上がりに期待しているそうです。
2「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」村上春樹 著(新潮社)
3「うつヌケ」 田中圭一 著(KADOKAWA)
パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!
うつヌケは田中圭一さんが自ら発信するツイッターで読むことができます。重い内容を重さを感じさせないタッチで深く掘り下げているので、ついつい繰り返し読むことになります。そういう読み方をすると印刷媒体として出版された作品の方がだんぜん読みやすくなるので、ランキング上位に登場したのもよくわかります。
4「さよならの力 大人の流儀7」伊集院 静 著(講談社)
私は二十歳代と三十歳代に別離を経験した。一人は弟であり、もう一人は前妻であった。なぜ彼、彼女がこんな目にと思った。その動揺は、なぜ自分だけが? という感情になった。ところがそういうものと向き合っていると、やがて別離を経験した人にしか見えないものが見えて来る。それは彼等が生きていた時間へのいつくしみであり、生き抜くしかないという自分への叱咤かもしれない。(まえがきより)
週刊現代誌上の連載『それがどうした』掲載のエッセイに加え、本書のために、4編の書き下ろしを収録。
5「弘兼流 60歳からの手ぶら人生」弘兼憲史 著(海竜社)
弘兼憲史、身辺整理始めました。「常識」という棚にしまったすべてのものを一度おろして、ひとつひとつ吟味してみませんか。そうすれば、きっとこれからの人生に必要なものと必要でないものが見えてくるはずです。
島耕作がサラリーマン人生の頂点を極めた今、その高みから見えてきたものとは何か。しみじみ考えさせられます。公式サイトには不安と希望を胸に抱いた青年の姿がありました。
6「i(アイ)」西加奈子 著(ポプラ社)
「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!
7「音の糸」堀江敏幸*1 著(小学館)
静かに響きわたる、著者初の音楽エッセイ
小学生の時に友人の家で聴いたカラヤンのレコード、中学校の音楽室で耳を傾けたブラームス、日曜朝のFM放送、故郷でストーヴを焚きながら聴いた灯油の臭いのするカセットテープ、大学生になって、抽選で当たって訪れた“はずだった”、あるピアニストのコンサート……。
音の記憶の糸をたぐり寄せ、絡まった糸を一本ずつ解きほぐしていくと、そこには何が見えてきたのであろうか――。
《音の糸は音の意図。場合によっては神の意図にもなる。翻弄されるのはつねにこちらのほうであって、だからこそ音楽との一対一の関係に適度な緊張が生まれてくる。どんなに絡まり合っていても、それが音楽にまつわる身分証明である以上、むげに断ち切ることなど、いまもこれからもできはしないだろう》(本文より)
50篇で綴る、音楽と記憶の断片。
8「蜜蜂と遠雷」恩田陸 著(幻冬舎)
俺はまだ、神に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。
9「九十歳。何がめでたい」を身につける」佐藤愛子 著(小学館)
自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越えて生きて来た佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、人生をたくましく生きるための「金言」も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。
10「コンビニ人間」村田 沙耶香 著(文藝春秋)
村田沙耶香(@sayakamurata)さん | Twitter
*1:1964(昭和39)年、岐阜県出身の小説家・フランス文学者。 早稲田大学に在籍中はフランス文学を専攻。在学中にパリの大学へ留学し、その後は同大学で教授をしている。留学中に書いた随筆が白水社の雑誌に掲載され、その後単行本化され、小説家デビューを果たした。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』ほか