本屋は燃えているか

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#経産省若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家」

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「不安な個人、立ちすくむ国家」経産省若手プロジェクト(文藝春秋

2017年5月に産業構造審議会総会の配布資料として公開されると、
多くのメディアに取り上げられ、瞬く間に150万ダウンロードを記録し、
賛否両論を巻き起こした「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」。

これは「経済産業省次官・若手プロジェクト」の一環として作られたもので、
今後日本が立ち向かうべき課題
「富の創造と分配」
セーフティネット
「国際秩序・安全保障」
について議論を重ねたものです。

組織の中で配付される資料は、世の中一般に読まれることを想定して書かれていないのが普通です。

特にお役所や大企業などの肥大した組織の中では、配布される資料は「文書」と呼ばれ、

使われる言葉の一つ一つが注意深く検討されてまとめられます。

できあがった「文書」には"うっかり”とか、"筆が滑った"という不用意な表現はことごとく削除され、汗水(この場合は冷や汗)をかきながら綴った著者の姿も併せて抹消されるのが普通です。

そんな「文書」のなかで異色ともいえる流れで世に出たのがこの本です。

「飛び出た考え方や、異質なものの見方、建設的な提案が丸められてしまうのが組織の姿。その中で生きる若手官僚たちの姿や思いをうかがい知ることができる珍しい本」だといって、

官公庁を中心に飛び回る報道系の放送局員が購入していきました。