本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#花田菜々子「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」

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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」花田菜々子*1著(河出書房新社

「人生の成功モデルは旧来型の会社勤めだけではない」。そのことに若い人たちが気付き始めています。

その背景にはAIが象徴する社会の情報化があります。また、働き方改革に象徴される労働のありようや、少子高齢化が国の財政に突きつける経済の課題もあります。ひょっとしたら、今のような形の仕事や会社は10年後にはなくなるかも知れません。職業というものの先行きが見通せなくなっているのです。

新たな世界で自分なりの立ち位置を切り開くには、自分という商品を見つめ直すしかないのです。

個人の価値を自主的に提供すること。自分にしかできないものをつくって差し出すこと。

それに気付いて、動き出す人しかヒーローになれない時代なのかも知れません。

配本された本を売りさばくだけの書店がたちゆかなくなっています。それを絶望とするかチャンスとみるかは自分自身。

『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』というタイトルには新しい時代に向き合う生き方の決意が見えます。

 

 

 

*1:1979年、東京都生まれ。書籍と雑貨の店「ヴィレッジヴァンガード」に12年ほど勤めたのち、「二子玉川蔦屋家電ブックコンシェルジュ、「パン屋の本屋」店長を経て、現在は「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」(2018年3月23日開店予定)の店長を務める。編著書に『まだまだ知らない 夢の本屋ガイド』(朝日出版社)がある。