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#加藤哲郎「731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦」

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731部隊と戦後日本――隠蔽と覚醒の情報戦」加藤哲郎 著(花伝社)

テレビでよく見るタレントの名前や、昨日食べたご飯のことも、人間は年を取ると記憶がかなり曖昧になります。しかし、若い頃の思い出でも、写真や記録が残っていれば、その時起きたことをかなり正確に思い出すことができます。

個人レベルでは笑い事で済まされますが、社会的な影響が大きい事件や事故はしっかり記録して残さないと、後の人たちが"あのとき何が起きたのか”正確に知ることができません。

先の戦争中、戦地から帰ってきた人たちはよく「昔は良かった」と武勇伝を語ってくれました。当時何が起きたのか、自分たちは何をしたのか若い世代に語ろうとしませんでした。

「やってしまったことを、なかったことにしよう」とした人たちが、まず率先するのが記録を消去することです。「そんなことはダメだ」と思った国では公文書などの記録をきちんと残しましたが、私たちの国ではどうやらそうではなかったようです。