本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

#喜多麻優子「蔵元の娘と楽しむ日本酒入門」

f:id:tanazashi:20180615175546j:plain

 

「蔵元の娘と楽しむ日本酒入門」喜多麻優子 著(standards)

7月初旬に発生した西日本豪雨は各地に記録的な災害をもたらしました。

日本酒「獺祭」で知られる山口県の朝日酒造も本社の地下と一階が浸水。仕込タンクの空調が止まり、排水施設も被災したため90万本分もの生産に影響が出ると聞きました。

ここで気が付いたのは、本来日本酒とは冬から春にかけて仕込のピークを迎えるもの。夏場のこの時期に日本酒を作っていたことへの驚きでした。

この常識を破り、朝日酒造は日本酒造りの工程を精密に管理することで、あたかも"工業製品"であるかのように四季醸造を可能にしていたのです。

この「杜氏制に頼らない酒造り」が裏目に出た災害に日本酒造りの裏側を知ることができました。困ったことに、流通量が極端に減れば、市場に残された商品は高値のプレミア商品になることが予想されます。