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#川島蓉子 #糸井重里「すいません、ほぼ日の経営。」

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「すいません、ほぼ日の経営。」川島蓉子、糸井重里 著(日経BP社)

伝説のコピーライターとして時代を牽引した糸井重里さん。時代の先を読んでネットの事業に乗り出して立ち上げたのが「ほぼ日」でした。ネットを通じて商品を売るのが事業なのですが、サイトを訪問してわかるように、商品そのものを売ると言う印象はありません。どちらかと言うとライフスタイルを紹介する雑誌を眺めるような、情報に力を入れたコミュニティサイトのような印象すらかんじます。

著者の川島さんは「ブランドのデザイン」にこだわるジャーナリストです。ものを安く売ることよりもブランドとしての品格を消費者が評価する企業が消費者の信頼を勝ち取るという姿勢で活動を続けてきました。

この本の面白さは、ライフスタイルとブランドと言う切り口でお互いの考え方をあぶり出すようなジャズに例えたらセッション。ライブ感覚を感じることです。

ほぼ日の紙面上に掲載されるコラムや、自身が出演するテレビ番組などでは「のほほーん」とした語り口で敵を作らせない糸井さんが経営者の顔を見せるインタビューなど見どころたっぷり。あの糸井さんにこんな冷酷な面もあったのか。と気づくだけでも読んだ価値がある本です。※冷酷なと言ってもブラックな冷酷さではありません。人に見せたことにないしたたかな計算をする糸井さんがいたと言う発見です。念のため。だから最後に糸井さんは「表題のほぼ日の経営けの頭に「すいません、」を書き加えてほしい」と言っていたのです。