本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

週間ベスト10

ランキングです。 

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東京堂書店神田神保町店調べ(3月14日)

 

1「東京こだわりブックショップ地図 散歩の達人POCKET 」屋敷直子 著(交通新聞社

本書は、月刊『散歩の達人』の連載で10年近くにわたりのべ150軒を超える東京近郊の書店を訪れ、店主にインタビューを重ねてきた著者による書店(ブックカフェ含む)ガイド。新刊古書問わず、個性的な書店(とその担い手)を紹介します。本屋さんが多い街のめぐり方、若手による書店プロジェクトの動向など、本好き・本屋さん好きのみならず、散歩好きの一般読者、さらには業界関係者にもぜひ読んでいただきたい1冊です。

 

2「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編」村上春樹 著(新潮社)

1Q84』から7年――、待ちかねた書き下ろし本格長編

その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

3「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」村上春樹 著(新潮社)

物語はここからどこに
進んでいこうとしているのか?

その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

4「神田神保町書肆街考: 世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで」鹿島茂 著(筑摩書房

世界でも類例のない古書店街・神田神保町。その誕生から現在までの栄枯盛衰を、地理と歴史を縦横無尽に遊歩して鮮やかに描き出す。

 

5「地下道の鳩: ジョン・ル・カレ回想録」ジョン・ル・カレ 著(早川書房

東西冷戦、中東問題、ベルリンの壁崩壊、テロとの戦い──刻々と変化する国際情勢を背景に、ル・カレは小説を執筆し、『寒い国から帰ってきたスパイ』、『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』に始まるスマイリー三部作、『リトル・ドラマー・ガール』などの名作を世に送り出してきた。
本書は、巨匠と謳われる彼の回想録である。その波瀾に満ちた人生と創作の秘密をみずから語っている。

地下道の鳩: ジョン・ル・カレ回想録

地下道の鳩: ジョン・ル・カレ回想録

 

 

6「魂でもいいから、そばにいて : 3・11後の霊体験を聞く」奥野修司 著(新潮社)

「今まで話せませんでした。死んだ家族と“再会”したなんて……」「津波に流された愛娘の魂は、三年後、母と祖母のもとに戻ってきた」「亡き伯父から携帯に電話が……」――東日本大震災の遺族が初めて「告白」した奇跡の体験と絶望からの“再生”の物語。感涙必至!

魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―

魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―

 

 

7「虞美人草 (定本 漱石全集 第4巻) 」(岩波書店

職につかず超俗の日々を送る甲野と、気の強い異母妹藤尾。外交官をめざす豪放磊落な宗近と、兄想いの妹糸子。過去を捨て立身出世を夢見る小野と、内気ないいなずけの少女小夜子――東京と京都を舞台に、男女六人の若者たちが織りなすひと春の絢爛たる愛の群像劇。職業作家の道を歩みはじめた漱石が描く、渾身の本格的恋愛長編小説。

虞美人草 (定本 漱石全集 第4巻)

虞美人草 (定本 漱石全集 第4巻)

 

 

8「ゆらぐ玉の緒」古井由吉 著(新潮社)

陽炎の立つ中で感じるのも、眠りの内のゆらめきの、余波のようなものか。老齢に至って病いに捕まり、明日がわ からぬその日暮らしとなった。雪折れた花に背を照らされた記憶。時鳥の声に亡き母の夜伽ぎが去来し、空襲の夜の邂逅がよみがえる。つながれてはほどかれ、ほどかれてはつながれ、往還する時間のあわいに浮かぶ生の輝き、ひびき渡る永劫。一生を照らす生涯の今を描く全8篇。古井文学の集大成。

ゆらぐ玉の緒

ゆらぐ玉の緒

 

 

9「名誉と恍惚」松浦寿輝 著(新潮社)

ふるさとなんかどこにもないが、生きてやる。おれの名誉と恍惚はそこにある。日中戦争のさなか、上海の工部局に勤める日本人警官・芹沢は、陸軍参謀本部の嘉山と青幇の頭目・蕭炎彬との面会を仲介したことから、警察を追われることとなり、苦難に満ちた潜伏生活を余儀なくされる……。祖国に捨てられ、自らの名前を捨てた男に生き延びる術は残されているのか。千三百枚にも及ぶ著者渾身の傑作長編。

名誉と恍惚

名誉と恍惚

 

  

10「美しい街」尾形亀之助松本竣介 著(夏葉社)

待望の選詩集。尾形亀之助(1900~1942)の全詩作から55編を精撰。

美しい街

美しい街

 

 

〈ポスト・トゥルース〉アメリカの誕生 ―ウェブにハックされた大統領選

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「〈ポスト・トゥルース〉アメリカの誕生 ―ウェブにハックされた大統領選」池田純一 著(青土社

 “世界”を変える稀有な事件の記録。ソーシャルメディア、フェイクニュース、ハッキング、Alt‐Right…今や世界に浸透したウェブは、これまでとは異なる政治のあり方、もっといえば政権奪取や内政干渉のあり方まで示してしまった。ゲームのルールは確かに書き換えられたのだ。本書は、選挙後「“ポスト・トゥルース”の時代」と名付けられた現代に誕生した、今までとは異なる新たなアメリカを捕まえようとした試みである。WIRED.jpの人気連載「SUPER ELECTION ザ・大統領戦」緊急出版!

 “ポスト・トゥルース”の意味とは「世論形成において、客観的事実が、感情や個人的信念に訴えるものより影響力を持たない状況」とオックスフォード英語辞典に載っています。「情報源としてのソーシャルメディアの台頭と、エスタブリッシュメント(既得権層)が示す事実への不信の増大が概念の土台になっている」(オックスフォード英語辞典代表キャスパー・グラスウォル)と分析されています。

日本社会でおきる社会の変化は、もとを辿るとアメリカの動きから始まる場合がほとんどです。ネットが世界を覆い尽くす未来に放送がどのような形で存在しているのか、放送関係者は情報社会・アメリカの変化に敏感に反応します。

著者の池田潤一さんは 「ウェブ文明論」などインターネットという新潮流により社会が大きく変わりつつあるアメリカを観察し続けているコンサルタント。デザイン・シンカーです。

ウェブ文明論 (新潮選書)

ウェブ文明論 (新潮選書)

 

合わせて注文される関係者も散見されました。 

 

週間ベスト10

文学・ノンフィクション部門のランキングです。 

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三省堂神保町本店調べ(2月27日~3月5日)

 

1「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編」村上春樹 著(新潮社)

100冊以上の「騎士団長殺し」が店頭に並び、「小田原のご当地小説」というコピーを掲示してセールスに力を入れるのが小田原駅三省堂書店です。発売当日には約50冊を売りあげました。主人公の「私」家は小田原厚木道路から山中に入った所にあって相模湾を展望できるとされることから、観光で訪れた「村上主義者」の読者にも注目してもらえるのではと、ブームの盛り上がりに期待しているそうです。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

2「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」村上春樹 著(新潮社)

 

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

3「うつヌケ」 田中圭一 著(KADOKAWA

パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

 

 

うつヌケは田中圭一さんが自ら発信するツイッターで読むことができます。重い内容を重さを感じさせないタッチで深く掘り下げているので、ついつい繰り返し読むことになります。そういう読み方をすると印刷媒体として出版された作品の方がだんぜん読みやすくなるので、ランキング上位に登場したのもよくわかります。https://pbs.twimg.com/media/C3tHb-WUEAE7PRe.jpg

tanazashi.hatenablog.com 

 

4「さよならの力 大人の流儀7」伊集院 静 著(講談社

私は二十歳代と三十歳代に別離を経験した。一人は弟であり、もう一人は前妻であった。なぜ彼、彼女がこんな目にと思った。その動揺は、なぜ自分だけが? という感情になった。ところがそういうものと向き合っていると、やがて別離を経験した人にしか見えないものが見えて来る。それは彼等が生きていた時間へのいつくしみであり、生き抜くしかないという自分への叱咤かもしれない。(まえがきより)

週刊現代誌上の連載『それがどうした』掲載のエッセイに加え、本書のために、4編の書き下ろしを収録。

 

さよならの力 大人の流儀7

さよならの力 大人の流儀7

 

 

5「弘兼流 60歳からの手ぶら人生」弘兼憲史 著(海竜社)

弘兼憲史、身辺整理始めました。「常識」という棚にしまったすべてのものを一度おろして、ひとつひとつ吟味してみませんか。そうすれば、きっとこれからの人生に必要なものと必要でないものが見えてくるはずです。

弘兼流 60歳からの手ぶら人生

弘兼流 60歳からの手ぶら人生

 

島耕作がサラリーマン人生の頂点を極めた今、その高みから見えてきたものとは何か。しみじみ考えさせられます。公式サイトには不安と希望を胸に抱いた青年の姿がありました。

https://pbs.twimg.com/media/CjHM9eKWkAAtpCV.jpg

『学生島耕作』公式さんのツイート: "【単行本】気になる初版特典は、島耕作の学生証&会長名刺!!早稲田大学様のご協力のもと、当時の学生証をリアルに再現しました!ちなみに、単行本の著者近影が学生時代の弘兼先生の写真だって気づいてましたか??(近影じゃないけど) #島耕作 https://t.co/tK4jvmmLbe"

6「i(アイ)」西加奈子 著(ポプラ社

「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。ある「奇跡」が起こるまでは―。「想うこと」で生まれる圧倒的な強さと優しさ―直木賞作家・西加奈子の渾身の「叫び」に心揺さぶられる傑作長編!

i(アイ)

i(アイ)

 

 

7「音の糸」堀江敏幸*1 著(小学館

静かに響きわたる、著者初の音楽エッセイ

小学生の時に友人の家で聴いたカラヤンのレコード、中学校の音楽室で耳を傾けたブラームス、日曜朝のFM放送、故郷でストーヴを焚きながら聴いた灯油の臭いのするカセットテープ、大学生になって、抽選で当たって訪れた“はずだった”、あるピアニストのコンサート……。
音の記憶の糸をたぐり寄せ、絡まった糸を一本ずつ解きほぐしていくと、そこには何が見えてきたのであろうか――。
《音の糸は音の意図。場合によっては神の意図にもなる。翻弄されるのはつねにこちらのほうであって、だからこそ音楽との一対一の関係に適度な緊張が生まれてくる。どんなに絡まり合っていても、それが音楽にまつわる身分証明である以上、むげに断ち切ることなど、いまもこれからもできはしないだろう》(本文より)
50篇で綴る、音楽と記憶の断片。 

 

音の糸

音の糸

 

 

8「蜜蜂と遠雷恩田陸 著(幻冬舎

俺はまだ、神に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。 

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

 

9「九十歳。何がめでたい」を身につける」佐藤愛子 著(小学館

自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越えて生きて来た佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、人生をたくましく生きるための「金言」も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい

 

 

10「コンビニ人間」村田 沙耶香 著(文藝春秋

 村田沙耶香(@sayakamurata)さん | Twitter

コンビニ人間

コンビニ人間

 

 

 

*1:1964(昭和39)年、岐阜県出身の小説家・フランス文学者。 早稲田大学に在籍中はフランス文学を専攻。在学中にパリの大学へ留学し、その後は同大学で教授をしている。留学中に書いた随筆が白水社の雑誌に掲載され、その後単行本化され、小説家デビューを果たした。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』ほか

大江戸残酷物語

落語を観に行くと大入り満員。一昔前なら、暇をもてあましたような初老の男たちが散見された演芸場も、いまや観客の主役は若い人や女性客が中心だとか。落語ブームがきっかけで江戸の暮らしに興味を持つ人が増えているようです。

古典落語の楽しみは下町長屋の人情を感じるところだね・・・とお喋りしていたら、レジに並んでいた知り合いの放送局員からスッと差し出されたのがこの本です。

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「大江戸残酷物語」氏家幹人 著(洋泉社

島原の乱以後、幕府倒壊寸前まで戦争も内乱もなく、平和を享受していた時代においても、刑場や屋敷の中、そして路上で、合法と違法を問わず、目を覆い耳を塞ぎたくなるような情景が繰り広げられていた。

私たちのご先祖はこんな日常を生きてきたのか・・・

目を覆いたくなるような陰惨な内容が満載されてます。この本を読むと落語の見方が変わってしまうような気がします。しかし、光の部分だけ見ただけでは社会の実相はつかめません。教科書では取り上げられないような部分まで踏み込んで、私たちが今いる暮らしの価値が理解できるように思います。

増補版 大江戸残酷物語 (歴史新書y)

増補版 大江戸残酷物語 (歴史新書y)

 

今の東京の風景から見ると、たかだか150年前の江戸は血なまぐさい社会だったようです。目次を見ただけでかなり強烈な印象を受けます。ディストピアのような江戸に私たちの祖先は暮らしていたのです。 

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人間の本質は変わらない・・・

「血みどろな出来事に特化してまとめているので、書かれた内容が日常茶飯事のように繰り広げられていたわけではない」時代考証を専門にする知り合いは、ショックを和らげようと弁解気味にいいました。たとえて言うなら交通事故のニュースが人殺しのニュースになったようなもの・・・といいますが、それでも多い感じがします。「中東の国々で起きている戦乱の感覚に近いかも知れない」と聞かされても感覚は追いつきませんが、言わんとすることはわかります。

 

現代社会でも同じようなことをしている国は存在するわけです。話し合いではなく暴力で解決を図る事件はなくなりません。人間の考え方や意識は基本変わっていないのです」陰惨な事実の裏にあるものを冷静な目で読むよう奨められました。 

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歴史に学べと聞きます。私たちの先祖が積み上げてきた明るい面を学ぶことも必要ですが、誰も触れたがらない暗黒面に光りを当てることには意味があります。

本書では家臣が後追いする「追腹」や殉死が美徳とされた封建社会の人権感覚。酸鼻を極めた殺傷事件や人胆を薬用にした話など仰天の事実が掘り起こされています。今の暮らしからかけ離れた当時の価値観を知ることが出来ます。こうした血なまぐさい時代から決別し私たちは様々な代償を払いながら今ある社会の安心を獲得してきたわけです。落語を楽しむ限り江戸暮らしに憧れは広がりますが、こんな世界にもどってはならないし、賛美してはならないと強く感じます。 

 

 

メディアのことばを読み解く7つのこころみ

登場したのがこの本。

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「メディアのことばを読み解く7つのこころみ」名嶋義直 著(ひつじ書房

言語学者・言語教育者がいまなぜメディア談話を批判的に分析するのか、その意義はどこにあるのかについて、さまざまなアプローチでテレビ・新聞・記者会見・インターネット上の情報等のメディア談話を批判的に分析した。
執筆者:庵功雄、今村和宏、大橋純、神田靖子、名嶋義直、野呂香代子

「批判的ということは寛容的であること」と著者の名嶋義直(琉球大学 グローバル教育支援機構 国際教育センター教授)は提言しています。メディアが発するメッセージを鵜呑みにせず批判的に見る目が大切です。2015年3月22日に仙台にて開催された国際シンポジウムの講演をもとにまとめられたこの本は、ふだん視聴者や読者が目にすることのないメディアの内側から様々な論点を引き出しています。

「平和と脱原発を考えるためのメディア・リテラシー」  今村和宏

社是、外部権力からの圧力、自主規制
4.2 商業的な判断、読者層(視聴者層)、地域性、媒体の特性
4.3 記者の興味、予算、時間の制約、わかりやすさ
4.4 掲載場所(放送時間帯)
4.5 社是の拘束力:産経新聞東京新聞ではどちらが自由か
4.6 社内の力関係

http://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-89476-841-3.htm

報道されるニュース一つとっても批判から逃れられません。現場取材のにあたる記者の興味や社内の事情に編集や経営の力関係などでニュースの扱われ方が変わってくるのです。現実は一つなのに切り取り方や構成の仕方でまったく違う印象を持つ記事になってしまうのです。改めて論じられる指摘に、膝を叩くメディア関係者も少なくないように思います。

特定秘密保護法」「原発事故と原発」「マスコミの言説に潜む誘導性」とシンポジウムのテーマはきわめて刺激的です。 批判的リテラシーは外から与えられるものではなく自らが考え育てるものであるようです。

メディアのことばを読み解く7つのこころみ

メディアのことばを読み解く7つのこころみ

 

「君が僕の息子について教えてくれたこと」という記事へ

じぶん書店の衝撃

古本ライターとして知られるフリーライター岡崎武志さんが、自らの体験をもとにまとめた古書店開業の顛末記。「本屋さんになる! 書店・古書店を独立開業するためのアイデアとノウハウ」。書店の主になる夢を抱く人は本好きなら誰もが抱く夢かも知れません。

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リアルな出版物を販売する「書店」を開業するには、本を売ることに対する情熱に加え、出版物の流通にある程度知識が必要だといわれます。さらに委託販売を担保するため、相当な自己資金(取次に払う保証金)が必要になります。 

tanazashi.hatenablog.com 

ですから「引退後は書店を開業したい」と考える中高年に手が届くのは、古物販売免許を取得して開く古書店ということになります。 

インターネットを経由した商取引が普及し、加えて電子書籍が普及を見せる昨今。

ルールに縛られない新しいサービスが始まるようです。それは・・・

http://www.mediado.jp/wp-content/themes/basic-theme/image/screen_20170309_001.png

 

講談社などが計画しているのが「じぶん書店」。ユーザーが本を選んで電子書店を開設・運営するというシステムです。説明図を見る限り、アマゾンなどのアフィリエイトバナーを自分のブログに貼って仲介手数料をいただく方法のようにも見えます。商品はダウンロードして読む電子書籍に限られ、紙の本は除外されています。 

株式会社講談社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:野間省伸)は、スマートフォンだけで自分の電子書店を開設できるブラウザーベースのサービス「じぶん書店」を 4 月にリリースいたします。サービスシステムの開発・運営は株式会社メディアドゥ(本社:東京都千代田区、代表取締役:藤田恭嗣)との共同で行います。
書店開設を希望されるユーザーは会員登録を行い、講談社が展開している電子書籍約 32,000 点の中から売りたいタイトルを選び、推薦コメントを入れるだけで、簡単に自分の電子書店を開設することができます。開設に費用は一切かかりません。
販売促進活動のメインは SNS。簡単にシェアできる機能を提供します。
ブラウザーベースのサービスなので、シェアされた記事を見た人がその書籍に興味を抱いたら、アプリをダウンロードする等の手間もなく、すぐに試し読みが可能です。その場で会員登録をすれば購入もできます。
電子書籍が売れた場合、10%のアフィリエイトコインが書店運営ユーザーに振り出されます。このコインは電子書籍の購入や、書店の拡張にも使えるほか、エクスチェンジサービスと連携しているので、他のポイントやマイルに替えることも可能です。
サービスリリース時には、講談社から作品を出版している作家の皆さまの書店や、編集者の書店も開設予定です。将来的には他の出版社の作品や、動画や音楽等のデジタルコンテンツも取り扱っていくことを
想定しております。是非新サービスにご期待ください。

http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170309jibun.pdf

 

電子書籍が売れた場合、10%のアフィリエイトコインが書店運営ユーザーに振り出されます」

と書かれているように、料率はアマゾンのkindle(8%)と比べてやや高めに設定されている点が注目されます。アマゾン一人勝ちの業界にあえて一石を投じたように見えます。

「アプリをダウンロードする等の手間もなく、すぐに試し読みが可能」

消費者の側から見ると気になるのが、プラットフォームです。この部分の記載は不透明です。電子書籍のプラットフォームについては各社入り乱れての縄張り争いが続いています。kindlekoboでも読めるのか?細かく見ると気になります。

ともあれ、大量の本の中から一冊を選ぶ選書家(キュレーター)の方たちがこのサービスを使いこなすようになるとかなり有望です。目利きの選書家をブックマークしておけば、自分が読みたい本がかなり手に入れやすくなるからです。ふらっと入ったリアル書店で思いがけない本に出会うように、選書家との出会いがきっかけとなり本の選び方も変わってくるかも知れません。サービスの行方を注目したいと思います。

 

sgenji.jp

 

週間ベスト10

ランキングです。 

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東京堂書店神田神保町店調べ(3月7日)

 

1「騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編」村上春樹 著(新潮社)

1Q84』から7年――、待ちかねた書き下ろし本格長編

その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 

 

2「東京こだわりブックショップ地図 散歩の達人POCKET 」屋敷直子 著(交通新聞社

本書は、月刊『散歩の達人』の連載で10年近くにわたりのべ150軒を超える東京近郊の書店を訪れ、店主にインタビューを重ねてきた著者による書店(ブックカフェ含む)ガイド。新刊古書問わず、個性的な書店(とその担い手)を紹介します。本屋さんが多い街のめぐり方、若手による書店プロジェクトの動向など、本好き・本屋さん好きのみならず、散歩好きの一般読者、さらには業界関係者にもぜひ読んでいただきたい1冊です。

3「騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編」村上春樹 著(新潮社)

物語はここからどこに
進んでいこうとしているのか?

その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた……それは孤独で静謐な日々であるはずだった。騎士団長が顕(あらわ)れるまでは。

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

4「神田神保町書肆街考: 世界遺産的“本の街”の誕生から現在まで」鹿島茂 著(筑摩書房

世界でも類例のない古書店街・神田神保町。その誕生から現在までの栄枯盛衰を、地理と歴史を縦横無尽に遊歩して鮮やかに描き出す。

 

5「鏡花、水上、万太郎」福田和也 著(キノブックス)

好きです、好きなんです。先生の文章が―泉鏡花水上瀧太郎久保田万太郎獅子文六佐多稲子武田泰淳檀一雄小島信夫樋口修吉―明治、大正、昭和の社会、文壇を活写した著者渾身の文藝評伝・批評集!

鏡花、水上、万太郎

鏡花、水上、万太郎

 

 

6「魂でもいいから、そばにいて : 3・11後の霊体験を聞く」奥野修司 著(新潮社)

「今まで話せませんでした。死んだ家族と“再会”したなんて……」「津波に流された愛娘の魂は、三年後、母と祖母のもとに戻ってきた」「亡き伯父から携帯に電話が……」――東日本大震災の遺族が初めて「告白」した奇跡の体験と絶望からの“再生”の物語。感涙必至!

魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―

魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く―

 

 

7「丘の火 (野呂邦暢小説集成8)」野呂邦暢豊田健次陣野俊史 著(文遊社)

激戦地の生還者が残した手記、「新型爆弾」の 鋭い青紫色の光――

戦場の真実を探る表題作、遺稿を含む晩年の傑作群。

初単行本化作品 「青葉書房主人」「廃園にて」「足音」収録

丘の火 (野呂邦暢小説集成8)

丘の火 (野呂邦暢小説集成8)

 

 

8「美しい街」尾形亀之助松本竣介 著(夏葉社)

待望の選詩集。尾形亀之助(1900~1942)の全詩作から55編を精撰。

美しい街

美しい街

 

 

9「ゆらぐ玉の緒」古井由吉 著(新潮社)

陽炎の立つ中で感じるのも、眠りの内のゆらめきの、余波のようなものか。老齢に至って病いに捕まり、明日がわ からぬその日暮らしとなった。雪折れた花に背を照らされた記憶。時鳥の声に亡き母の夜伽ぎが去来し、空襲の夜の邂逅がよみがえる。つながれてはほどかれ、ほどかれてはつながれ、往還する時間のあわいに浮かぶ生の輝き、ひびき渡る永劫。一生を照らす生涯の今を描く全8篇。古井文学の集大成。

ゆらぐ玉の緒

ゆらぐ玉の緒

 

 

10「神田・神保町+九段下 TOKYO GUIDEBOOK」(交通新聞社

月刊『散歩の達人』で特集し、特に人気の「街」を選んで紹介するハンディ版・街歩きガイド。首都圏内の駅から徒歩15分圏内を基本に、街じゅうをじっくり散策できるよう、片手で持って開けるようなサイズにします。
コンテンツは、その街の全体像がわかるような街歩きページ(エリアさんぽ)からスタート。そのあとのページでは、散歩の達人的企画ページを2~4ページ単位でギュギュっと詰め込みます。知って得する(得しなくても?!)、ウレシイ、タノシイ、オモシロ情報が満載の一冊です。

神田・神保町 (散歩の達人handy)

神田・神保町 (散歩の達人handy)