本屋は燃えているか

ブックストアの定点観測

選書

細野晴臣が選ぶ2017今年の三冊

ザップル・レコード興亡記: 伝説のビートルズ・レーベルの真実 ポール・マッカートニーの盟友にして、伝説のレコード会社ザップル運営者である著者が半世紀の封印を解き、ついにその内実を語る。 posted with ヨメレバ バリー マイルズ 河出書房新社 2017-02…

保阪正康が選ぶ2017今年の三冊

昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実 本書は国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ二十年余の歴史に再検証を試みたものである。昭和が平成に変わる直前の二十年余という歳月は、薩長の下級武士たちが決起、さまざまな歴史上の人物を巻き込んで徳川幕藩体制…

原武史が選ぶ2017今年の三冊

福島尚鉄道画集 ~線路は続くよ~ 鉄道マニアも唸る緻密さ! 美しさ ! 鉄道で世界とつながった自閉症の画家、初の作品集。NHK「いっと6けん」やTBSテレビ「Nスタ! 」、各新聞、ネットで紹介され、話題になった福島尚さんの代表作・約60点を収録。 福島尚さんは…

蜂飼耳が選ぶ2017今年の三冊

メシュガー シンガー最晩年の到達点―ヒトラーの恐怖を生き延びて、それぞれニューヨークに辿り着いたユダヤ難民たち。常に死を意識しながらも新たな生を模索する彼らだが、作家アーロンは、その中の一人の女性ミリアムに強く惹かれていく。やがて彼女の“暗黒…

斎藤美奈子が選ぶ2017今年の三冊

守教 上 初めてだった。これほどに、自分を認めてくれる教えは。だから、信じることに決めた。百姓たちは、苦しい日々を生き抜くためにキリシタンになった。なにかが変わるかもしれないという、かすかな希望。手作りのロザリオ。村を訪れた宣教師のミサ。と…

齋藤純一が選ぶ2017今年の三冊

偽装の被爆国――核を捨てられない日本 日本は、戦後70年間にわたり「唯一の被爆国」としてのアイデンティティを形成してきたはず、だった。しかしいま「核なき世界」を掲げたオバマの政策に抗い、軍事転用可能なプルトニウムを大量に積み上げ、核禁止条約には…

柄谷行人が選ぶ2017今年の三冊

宣教師ザビエルと被差別民 (筑摩選書) 宗教改革、大航海時代という世界史の転換期、日本はその影響をどう受けたのか?バスク生まれのザビエルは、カトリック改革派として、アジア底辺層への布教に乗り出す。その活動は日本にも及ぶ。ザビエルら宣教師たちは、…

加藤出が選ぶ2017今年の三冊

サザビーズで朝食を─競売人が明かす美とお金の物語 シャガール、ミロは、ブルーが多いほど高額に?ゴッホは自殺したからこそ、価値が高まった?アーティストの“狂気”は市場に影響を及ぼす?サザビーズのディレクターが、長年の経験をもとに作品の様式からオーク…

円城塔が選ぶ2017今年の三点

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 小説投稿サイト「カクヨム」にて空前の人気を誇る、空想ゲームレビュー小説が書籍となって登場。レビューによって描かれる“未来の世界のレトロゲーム”の追体験が、読者をまだ見ぬ懐かしい世界へと誘う。「カクヨム」…

行動経済学の本

// 朝日新聞(2017.12.10)の読書欄の特集は行動経済学の本です。 行動経済学の研究者・大阪大学教授の大竹文雄さんはこう言います。 「わかっているのにやめられないという人間の行動を経済学にきちんと取り入れることに成功したのが行動経済学です」 行動…

「整える、夏。」(ゆるめる)ブックリスト

こころを解き放ち、自身の気持ちと向き合う時間が、生きていく上でとても大切。本と対峙することで、小さな気づきとともに、静かで穏やかな時を感じてみてください。 二子玉川蔦屋家電、食コンシェルジェ大川が選ぶ10冊の本です。 // 疲れないからだをつく…

池上冬樹さんが薦める文庫 2017.06.11

// 「スペードの3」朝井リョウ 著(講談社) 「色いろ花骨牌」黒鉄ヒロシ 著(小学館) 「その犬の歩むところ」ボストン・テラン 著(文藝春秋) 「スペードの3」朝井リョウ 著(講談社) ミュージカル女優、つかさのファンクラブを束ねる美知代。小学校の同…

私の知らない技術書の世界 おすすめベスト12

// 先日取扱いを開始したラムダノートの書籍を、関連書も併せて展開しています。関連書には、選書いただいた代表の鹿野さんからのコメント付きです。ぜひ店頭でご覧ください! 技術書に情熱を傾ける熱い棚作りに注目しているのがジュンク堂書店池袋店のPC…

池上冬樹さんが薦める新刊 2017.05.07

// 「アーサー・ミラーⅣ 転落の後に/ヴィシーでの出来事」アーサー ミラー 著(早川書房) 「宝を探す女」逢坂剛 著(KADOKAWA) 「ナオミとカナコ」奥田英朗 著(幻冬舎) 「アーサー・ミラーⅣ 転落の後に/ヴィシーでの出来事」アーサー ミラー 著(早川…

辻山良雄さんが薦める新刊 2017.04.30

新しい本に出会うには、信頼できる選者が薦める本を手に取るのが早道です。 // 大型書店「リブロ池袋本店」の元統括マネージャー。同店閉店後に退職し、荻窪に「Title」という自分の店を開いた辻山良雄さんが薦める本です。 「国のない男」カート・ヴォネガ…

東直子さんが薦める文庫この新刊! 2017.04.23

// 「離陸」絲山秋子 著(文藝春秋) 「ふたつのしるし」宮下奈都 著(幻冬舎) 「バン・マリーへの手紙」堀江敏幸 著(中央公論新社) 歌人・評論家の東直子さんが薦める文庫です。 「離陸」絲山秋子 著(文藝春秋) 国交省から矢木沢ダムに出向中の佐藤弘…

福永信さんが薦める三冊 2017.04.16

// 「植物はそこまで知っている ---感覚に満ちた世界に生きる植物たち」ダニエル・チャモヴィッツ 著(河出書房新社) 「アルキビアデス クレイトポン」プラトン 著(講談社) 「誘拐されたオルタンス」ジャック・ルーボー 著(東京創元社) 福永信が薦める…

中江有里さんが薦める3冊 2017.04.12

年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介します。 // 「我らがパラダイス」林真理子 著(毎日新聞出版) 「読書と日本人」津野海太郎 著(岩波書店) 「野菜」細川 亜衣 著(リトルモア) 「我らがパラダイス」林真理子 著(毎日新聞出…

内澤旬子さんが選んだ三冊

そもそも地方から人が出て行き、過疎になったのには理由があるわけだ・・・ 外側からの視点が地域再生のヒントになります。 // 「「小商い」で自由にくらす (房総いすみのDIYな働き方) 」磯木淳寛 著(イカロス出版) 「地方創生大全」木下斉 著(東洋経済新…

辻山良雄さんが薦める新刊 2017.03.26

新しい本に出会うには、信頼できる選者が薦める本を手に取るのが早道です。 // 大型書店「リブロ池袋本店」の元統括マネージャー。同店閉店後に退職し、荻窪に「Title」という自分の店を開いた辻山良雄さんが薦める本です。 「田舎のパン屋が見つけた「腐る…

中江有里さんが薦める3冊 2017.03.08

年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介します。 // 「井伊家の教え~彦根藩・末裔の娘が語る赤備えの精神」井伊裕子 著(朝日新聞出版) 「すばらしい新世界〔新訳版〕」オルダス・ハクスリー 著(早川書房) 「どこじゃ? かぶきねこ…

全国書店員が選んだおすすめコミック2017

日本出版販売株式会社「全国書店員が選んだおすすめコミック2017」事務局発表のランキングです。 「発刊5巻以下」(2016年11月時点)のコミックで、全国の書店員が「多くの人に読んでほしい」と選んだ上位作品を発表する、今回で12回目を迎えるマンガ賞です…

小原篤が薦める「闘病マンガ」の世界

マンガ家が病気と闘う自分を描いた「闘病マンガ」。朝日新聞の小原篤記者は「私が最近読んで面白かった「闘病マンガ」をいくつかご紹介しましょう」と薦めています。 その魅力は、知らない世界を知る面白さ(怖いもの見たさ含む)であり、健康のありがたさが…

第21回手塚治虫文化賞 候補8作品

第21回手塚治虫文化賞 「クジラの子らは砂上に歌う」梅田阿比 著(秋田書店) 「ゴールデンカムイ」野田サトル 著(集英社) 「SAD GiRL」高浜寛 著(リイド社) 「昭和元禄落語心中」雲田はるこ 著(講談社) 「トクサツガガガ」丹羽庭 著(小学館) 「ど…

書評七福神の今月の一冊【新刊書評】1月

翻訳ミステリが好きでたまらない書評家七人が選んだ1月のベストです。 d.hatena.ne.jp (ルール)この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を事前相談なしに各自が…

はじめての海外文学・とっておきの17冊

翻訳書の魅力を伝えるにあたって、翻訳者だけがいくら声高に叫んだところで、たいした効果はない。ほかのだれよりも何よりも必要なのは、現場で本を売ってくれる書店員さんたちの力である。 越前敏弥 出版翻訳あれこれ、これから 第7回:「はじめての海外文…

中江有里さんが薦める3冊 2017.02.08

年間300冊の本を読む中江さんが、幅広いジャンルからご紹介します。 // 「パブロフの犬 実験でたどる心理学の歴史」 著() 「日本の365日 季節の道しるべ」日本気象協会 著(マガジンハウス) 「江戸おんな絵姿十二景」藤沢 周平 著(文藝春秋) 「パ…

福永信さんが薦める三冊

新しい本に出会うには、信頼できる選者が薦める本を手に取るのが早道です。 // 福永信*1さんが薦める三冊 「終幕のゆくえ」眉村卓 著(双葉社) 「黄金の時刻の滴り」辻邦生 著(講談社) 「文庫版 書楼弔堂 破暁」京極夏彦 著(集英社) 「終幕のゆくえ」眉…

ブルータスが推す 日常のひずみを垣間見る3冊

ブルータス「危険な読書」で紹介された日常の歪みを垣間見る文学。写真家の橋本一子さんが選んだ「ノートリミングの世界」にこそ本当の面白さが潜んでいる本。 // 「チクタク食卓」高山なおみ*1 著(アノニマスタジオ) 料理家として活躍する高山なおみが自…

ブルータスが推す 日常のひずみを垣間見る3冊

ブルータス「危険な読書」で紹介された日常の歪みを垣間見る文学。編集者の末井昭さんが選んだ「ノートリミングの世界」にこそ本当の面白さが潜んでいる本。 // 「ゼロ発信」赤瀬川原平 著(中央公論新社) 2000年問題が騒がれていた時、ゼロからのスタート…