「NYの「食べる」を支える人々」アイナ・イエロフ 著(フィルムアート社)
この本は、個人がそれぞれ自分の言葉で自分語りをするオーラルヒストリーです。料理長もいれば、ラインコック、レストランオーナー、ナイトマネージャー、卸商、チーズのプロ、パン職人、露天商、ケータリング業者、組織の食料担当などなど。
これらの物語は、名前を覚える間もなくお店が消え、夢が破れては新しく芽生え、運命がほんとうに急旋回しうるこの食の街で、競争に追われ、先が予測できず、苛酷なことも多いけれど、総じてほぼ満足しているという彼らのその人生にスポットライトを当てています。
番組企画のネタ本になりそうな本です。
企画の出発点はなんといっても人捜し。
意外な場所で活躍する意外な人の発見は、見た人に驚きと感動をもたらします。
その人の口から語られる経験やドラマは、誰もが真似できない説得力を持ちます。
要するに、人間はほかの人間が見たいのです。
この本の仕事を見て、晶文社がかつて出版した「仕事」シリーズを店頭に並べたくなりました。