朝日新聞読書欄(2017年12月17日)の特集は「家庭の食卓はいま」 。
一家揃って食卓を囲む風景はかつてホームドラマの象徴でした。その中心にはテレビがありました。しかし娯楽が多様化し家族それぞれが忙しい時間を過ごすようになった今、食卓が果たす役割はかつてのようなホームドラマの中心ではなくなりつつあります。「最も食卓に家族が揃わないのは片働きで夫の収入が高い世帯」という調査からは、家族が一緒に食卓を囲むことの難しさが浮き彫りにされます。
そのかわり増えてきたのが食べ物を扱った番組です。画面の中では大勢の出演者が料理を囲み賑やかなおしゃべりを続けます。コミックの世界でも家族と食卓を囲むことの難しさを描いた本が売れています。大晦日の番組としてクローズアップされた「孤独のグルメ」や女子ひとりの食生活を描いた「花のズボラ飯」などからも食卓の喪失という大きなテーマが伺われます。
丁寧な暮らしを食卓の中に描こうとした本を眺めると、家族で一緒にごはんを食べたいというあこがれを持つ人が少なくないことを感じさせられます。