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#廣末登「ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。 極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記」

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「ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。 極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記」 廣末登*1 著(新潮社)

ノーナレというドキュメンタリー番組で密着取材された元ヤクザのルポルタージュ

 

テレビカメラは取材対象の表情や口調といった情感を直感的に伝えてくれます。

その反面、衆人環視の中で撮影する取材クルーの存在はどうしても目立ちます。

カメラで撮られていることが取材対象に影響を与えてしまいがちなのです。

その点、メモを手に相手に密着する活字取材者は目立ちません。

カメラを前に緊張することがない分、取材対象は気を許し様々な話をしてくれます。

つまり活字は情報の量と質、フットワークで強みを持つのです。

テレビと活字の優劣を述べたいのではありません。それぞれの得意分野があるのです。

テレビで見た上で活字を読む。二つのメディアを比較して見ることによって、視聴者(読者)は真実に一歩近づくことができるのです。

 

*1:1970(昭和45)年福岡市生まれ。北九州市立大学社会システム研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は犯罪社会学。青少年の健全な社会化をサポートする家族社会や地域社会の整備が中心テーマ。現在、大学非常勤講師、日本キャリア開発協会のキャリアカウンセラーなどを務める傍ら、「人々の経験を書き残す者」として執筆活動を続けている。著書に『若者はなぜヤクザになったのか』(ハーベスト社)、『ヤクザになる理由」(新潮新書)、『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』(新潮文庫)『ヤクザと介護――暴力団離脱者たちの研究』など。