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#ステフン クヴェーネラン「MUNCH」

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「MUNCH」ステフン クヴェーネラン 著(誠文堂新光社

来月下旬から東京都美術館で開催が予定されている「ムンク展」。人間の内面を強烈な色彩で描いたムンクの作品は多くのファンを抱えています。しかし、番組づくりに携わる人にとっては、ただ絵を鑑賞して終わりというのでは仕事になりません。その人となりや知られざる秘話をに光を当て、絵を見ただけではわからない作家の物語を形作らなくてはなりません。

そのヒントとなるのが、世界中の美術家や研究者たちの書いた論文や書籍です。 

ムンクの伝記は世界各国で数えきれない程たくさん出されているが、
本作はユーモアを交え、彼の人物像を多面的に、深くえぐりだすことに成功している。また、日本で出版されている伝記に決定的に欠けている、ムンクとその時代に生きた人々の生の声、言葉を物語として不自然でない形にした構成力は
現地でも天才的と評され、絶賛されている。
かつて出されたムンクの伝記のほとんどは美術評論家により書かれたものだったが、
本作は優れた画家でもある漫画家により描かれたため、斬新な作品に仕上がっていることも大きな特徴となる。

美術家ではない人の視点でまとめられたノンフィクション。コミックスから発想した斬新な美術番組が生まれそうな気がします。